TOKYO ART BOOK FAIR 2024

Top Right Photo:Photo: Taku Matsuda

TOKYO ART BOOK FAIR 2024

今秋のアートブックフェアで注目の5つのトピック

世界中から多くのアーティストや出版社が集結する「TOKYO ART BOOK FAIR 2024」が、11月28日(木)から12月1日(日)まで東京都現代美術館で開催される。

2009年にスタートしてから年に1度のペースで開催を重ね、現在はアジアで最大規模のアートブックフェアとして知られる「TOKYO ART BOOK FAIR」。
個性豊かなアートブックやアーティストブック、ZINEなどの製作者が来場者と直接交流しながら書籍を販売するインタラクティブな場として支持され、多様なアイデアを取り入れながら拡張を続けてきた。

第14回を迎える今年は、国内外から約300組の出展者が集い、各ブースに加えて特別展やトーク、ワークショップ、サイン会なども4日間にわたってラインナップする。

Lula Japan Webでは、豊富なプログラムの中からピックアップした5つのコンテンツをご紹介。

1. Guest Country|Stefan Marx

Photo: Taku Matsuda

毎年1つの国や地域にフォーカスして出版文化を紹介する「TOKYO ART BOOK FAIR」の人気企画「Guest Country」。
第8回となる今年は、1450年代にJohannes Gutenbergによる活版印刷術が誕生し、高い印刷技術や真摯なものづくりを誇るドイツが特集される。

ベルリンを拠点に活躍するアーティスト Stefan Marxによるエキシビション「Die Hefte」では、彼がこれまでに手がけた約90冊のアーティストブックを一堂に集めて展示。

1979年生まれのMarxは、音楽やZINE、旅、サブカルチャーなどから影響を受け、線描画や手書きの文字などの作品を制作する他、多くのアーティストブックやZINEを刊行している。

展示では時系列に並ぶコレクションから、彼の鋭い観察力や遊び心あふれる表現が感じられ、本というメディアの多様な表現の可能性も垣間見える。
またキュレーターのLiberty Adrienとのコラボレーションによる、花をモチーフとしたブーケのようなアーティストブック「Liberty Flower Shop」も披露。
さらに本展に合わせ、彼の刊行物の表紙をすべて収録した「Die Hefte—ステファン・マルクス アーティストブック大全」も出版される。

2. Talk Event|Unlimited Mate

トークイベント「SEOUL ⇄ TOKYO 日韓のアートブックフェア出展者によるサイコロトーク - UNLIMITED MATE 2024」が11月30日(土)4:45pmより開催される。

「TOKYO ART BOOK FAIR 2024」と韓国・ソウルのアートブックフェア「UNLIMITED EDITION」は、それぞれのフェアの出展者を互いに無償で招待するブースエクスチェンジプログラム「Unlimited Mate」を昨年ローンチ。
両国の新進作家のサポートを目的とする取り組みであり、今回韓国からはThe Object、Robineggpie、The Flexibility Club、日本からはThe Goodwiller、EMI YOKOGOSHIの計5組が招待作家として選出された。

関連プログラムとして開催される招待作家によるトークは、テーマが書かれたサイコロを振り、それぞれの制作スタイルや日韓のアートブックシーンについてなど、出た目の内容について話をしていくカジュアルな形式のイベントとなっている。

3. Workshop|Charlotte Dumas

©︎ Koos Breukel

オランダのアーティスト Charlotte Dumasによるワークショップ「Animal Habitat / どうぶつ の いるばしょ」が、12月1日(日)4:30pmより開催。

1977年オランダ生まれのCharlotte Dumasは、現代社会における人間と動物の関係性をテーマに、さまざまな動物を被写体としたポートレート作品を発表してきた。
近年では、日本・与那国島の希少馬をめぐるリサーチと撮影を経て完成した3本の短編映像作品「潮」(2018)、「依代」(2020)、「青」(2022)をはじめ日本でも制作活動を行っており、オランダを代表する写真家として世界各地で個展を開催している。

Dumasを講師に迎えた今回のワークショップは、彼女が撮影した動物の写真を切り抜き、「動物のための部屋」を絵で描くというクリエイティブな体験ができる内容となっている。

4. Exhibition|Nieves

2001年に設立され、スイス・チューリッヒに拠点を置くNievesは、アーティストブックとZINEに特化したインディペンデント出版社。
ZINEのフォーマットを用いたアーティストブックを広めたパイオニアであり、Kim Gordon、平山昌尚、Stefan Marxなど著名人から新進気鋭の作家まで、多岐にわたるアーティストとコラボレーションしてきた。

2004年1月からは、A5サイズ、ホチキス綴じ、白黒コピーで統一された「Nieves Zine」シリーズをスタート。
少部数刊行でありながら、表現の一環として本を作るアーティストたちを世界中に紹介する役割を果たし、国際的なインディペンデント出版のコミュニティの発展において重要な影響を与えている。

「Nieves Zinematic Universe」と題された本展は、平山とMarxによる同シリーズ400冊目のリリースを記念するもの。
過去400冊の表紙がすべて展示される他、一部のZINEは中ページも閲覧でき、同じフォーマットを採用していながら多様性に富んだ自由な表現が楽しめる。

5. Exhibitor|Osamu Yokonami

国内外から集うおよそ300組ものアーティストや出版社のうち、写真家 横浪修がブースを出展。
京都府舞鶴市に生まれ、現在は東京をベースに活動する彼は、独特のユーモアと透明感を有する写真表現が海外でも支持され、第一線での活躍を続けている。

今回は「Lula BOOKS」第4弾として昨年10月に発売された、北海道・弟子屈(てしかが)が舞台の作品集「Assembly Teshikaga」も販売。
2010年よりスタートした「Assembly」シリーズで、横浪は集合体の持つ強さや美しさに着目し、北海道や沖縄、プーケット、ニュージーランドといった豊かな自然の中で同じ服装に身を包んだ少女たちの姿を捉えてきた。

本作は「個々に匿名性を与え、集団としての存在を浮き彫りにする」というこれまでのシリーズと同様の主題でありながら、大自然の厳しさ、畏怖を喚起させるような崇高さといった側面をより一層感じさせ、そこに無垢な生命の力が表れている。

ユニークに進化し続ける、出版文化のプラットフォーム。
4日間だけの複合的な空間で、アートブックの最前線に触れて。



TOKYO ART BOOK FAIR
tokyoartbookfair.com



【TOKYO ART BOOK FAIR 2024】
DATE:11月28日(木)〜12月1日(日)
TIME:11:00am~6:00pm
※11月28日(木)は12:00pm~7:00pm
※入場は閉場の30分前まで
PLACE:東京都現代美術館 企画展示室 地下2階、エントランスホール ほか
ADDRESS:東京都江東区三好4-1-1
ADMISSION:一般 ¥1,000
※オンライン事前予約制。チケットの発行手数料に¥165がかかります。
※当日券は¥1,200で若干数販売予定。
※一部のイベントには別途参加費が必要です。
AVAILABLE TO BUY FROM:www.ticketpay.jp/search/?keyword=TOKYO+ART+BOOK+FAIR+2024
※詳細はTOKYO ART BOOK FAIRのウェブサイト、SNSをご確認ください。

【Talk Event “SEOUL ⇄ TOKYO 한일 아트북페어 참가 작가들의 주사위 토크 - UNLIMITED MATE 2024”】
DATE:11月30日(土)
TIME:4:45pm~5:45pm
※4:30pmより受付開始
PLACE:東京都現代美術館 ホワイエ(1階 ミュージアムショップ横)
FEE FREE
※要当日有効の「TOKYO ART BOOK FAIR」入場券
RESERVATION FROM:peatix.com/event/4197855/view
※席に余裕がある場合は当日受付あり

【Workshop “Animal Habitat” by Charlotte Dumas】
DATE:12月1日(日)
TIME:4:30pm~5:15pm
※4:15pmより受付開始
PLACE:東京都現代美術館 PLAYGROUND(地下2階 講堂)
FEE:¥1,000
※要当日有効の「TOKYO ART BOOK FAIR」入場券
RESERVATION FROM:peatix.com/event/4187609/view
※席に余裕がある場合は当日受付あり
※対象年齢5~10歳

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