Taro Mizutani
12000年間扱われてきた光についての再考
写真家 水谷太郎の作品集「12000」が発売中。
あわせて、同名の展覧会が(Tentative)にて8月31日(日)まで開催されている。
1975年東京都に生まれ、抽象的な視点と圧倒的な美意識を持つ作品群で世界的に注目を集める写真家 水谷太郎。
ファッションフォトグラファーとして数々の雑誌、ブランドキャンペーン、映像制作を手がける一方、アーティストとしても精力的に作品を制作してきた。
本作は水谷の作品として構想され、スタイリスト 石井大、美術 松本千広の協働によってその世界観が立体的に立ち上がった作品集。
ファッションを起点に、時代や社会との関係性、そして「光とは何か」という根源的な問いを表現している。
アートディレクターは坂脇慶が務め、詩人・小説家の大崎清夏、哲学者 福尾匠によるテキストも収録。
光を放つ者が彷徨う様子を捉えた写真群から、スマートフォンやデジタルメディアに囲まれた現代において、視覚情報の源であるその意味を見つめ直し、まとうこと、映すこと、見ることの本質を多層的に問い直していく。
展覧会では平面作品の写真展示にとどまらず、会場中央の大型マップケース内に写真作品に合わせ、制作時に収集されたオブジェを収納。
鑑賞者が自ら引き出せるケースは、制作プロセスの欠片を通して、作品に込められた視点を探究する装置として機能する。
その断片を掴み、本展を構成する大切な要素の1つである作品集を読むことで、本作全体を体験できる仕掛けとなっている。
また、会場右側には現代の光を象徴する液晶モニターが複数台設置され、光を増幅させる映像作品が映し出される。
さらに8月24日(日)には、会場にて水谷と坂脇によるトークショーも行われる。