1991年静岡に生まれ、現在は東京を拠点に活動する写真家 長田果純。

14歳の頃から写真を撮り始め、ポートレートやファッション、アーティストの撮影や本の装丁など、その活動は多岐にわたる。

「星くずたち」のシリーズは、自身の眼差しを深め、石を通して存在や時間へ潜っていく試み。

幼少期より石を拾い集め続ける長田は、自分の記憶や感情を超えてただそこにある石を見つめた時、内側と外側、自己と世界が静かに繋がる感覚が生まれたという。
そしてそれは、写真という行為を通して「世界に触れる」という営みそのものを問い直すことでもある。

皮膚の皺や痣のようでもあり、いつかの痕跡のようでもある、石の表面に刻まれた模様や傷。
マクロとミクロの境界は緩やかに薄れ、石なのか、人なのか、あるいは誰かの記憶なのかが曖昧になっていく。

輪郭がほどけていくその過程で、遠くでそっと共鳴し合うように見えるものたち。
写真がすくい上げる「今」という痕跡を確かに辿りながら、存在にまつわる根源的な形が見つめられる。

本展では、プリント作品8点に加え、新作「星くずたちⅡ」も公開。

一部の作品では通常のプリント作品の他に湿板写真（アンブロタイプ）という技法を採用し、ガラスに焼きついた像の下にプリントが重ねられている。
複製を前提としない19世紀の湿板写真という在り方は、石そのものが持つ唯一性に呼応し、写真家の視点をよりはっきりと可視化する。

同じ循環の内で漂う星くずのような、石と人、そして記憶。
静寂の中で、世界の在り方に想いを馳せる。



THE BOOK END
080-7007-6949



【Kasumi Osada “Star Fragments”】
DATE：2026年1月19日（月）まで開催中
※火曜、水曜定休
TIME：11:00am～6:00pm
PLACE：THE BOOK END
ADDRESS：兵庫県神戸市中央区海岸通3-1-5海岸ビルヂング 302
ADMISSION FREE
WEBSITE：the-book-end.com/