Stanley Fung
聖書の人間観が写るポートレート
台湾の牧師兼写真家 馮君藍の日本初個展「微塵聖像」が、Seisodo Studioにて12月28日(日)まで開催中。
1961年香港に生まれた馮君藍は、1964年に宣教師の父親に従い家族で台湾に移住し、教会の開拓に参加。
1974年に洗礼を受け、幼少時代から親しんできた美術や写真に関する仕事を経て、亡き父の「神との約束をいつ果たすべきだと感じるか。それがいつであろうと、決して遅すぎることはない」という言葉をきっかけに牧師となった。
本展では、馮君藍が教会の信徒や友人をモデルに、約20年にわたり撮影してきたポートレートシリーズ「微塵聖像」の作品を展示。
台北の士林にある教会を小さく温かい美術空間とし、Nikon FM2や標準レンズ、反射板、遮光布、そして光が入る大きな窓という簡素な条件下で撮影された。
聖書の物語をモチーフにしたポートレート群には、その特有の人間観が写し出されている。
そこでは無秩序な霊長類でも、欲望に駆られた自律的な主体でも、道具を使う文化的な動物でもなく、光によって照らされた微粒子であり、物質と霊的なものとが混ざり合った存在として描かれている。