Solaya Nagai × Kohei Kawatani

Top Photo:Solaya Nagai, metaraction #35 PL-1, 2025 Stuffed animal, Acrylic 36 x 30 x 8 cm Photo: Riko Takagi
Top Photo:Kohei Kawatani, American Flowers 08, 2025 Archival pigment print

Solaya Nagai × Kohei Kawatani

「庭」をテーマとした、彫刻家と写真家の2人展

彫刻家 永井天陽と写真家 川谷光平の2人展「The Garden」が、parcelにて10月19日(日)まで開催中。

Solaya Nagai, metaraction #35 PL-1, 2025 Stuffed animal, Acrylic 36 x 30 x 8 cm Photo: Riko Takagi

1991年生まれ、東京を拠点に活動する彫刻家 永井天陽。

アクリル材や剥製、既製品など多様な素材を用い、近年では、素材や技術のかけ合わせで形作られる「まだ誰も見たことがないもの」を探求している。
永井は外側を覆うアクリル部分は型取りから制作し、その内部に全く異なるモチーフの人形を封じ込める。

ものや出来事に関する些細な疑いを出発点とするそれらは、人が無意識に抱く感覚や常識、認識を問い直す。

Kohei Kawatani, American Flowers 06, 2025 Archival pigment print

川谷光平は1992年生まれ、東京を拠点とする写真家。

KASSEL DUMMY AWARD 2020では最優秀賞を受賞し、翌年には受賞作の作品集「Tofu-Knife」を刊行。
商業的プロジェクトと作品制作という両軸を横断し、被写体との近い距離感と鮮やかな色彩感覚を特徴とする作品を発表してきた。

そのモチーフは日常の延長線上にあり、作家自身が惹かれ、愛着を感じたものが中心となっている。

Kohei Kawatani, American Flowers 08, 2025 Archival pigment print

彫刻と写真という異なる表現方法を採る両作家は、本展でいずれも意図せずしてノスタルジーを感じさせる「庭」にまつわるモチーフに着目し、新作を制作。
その視覚的印象は可愛らしさや美しさをまといながらも、現代社会や文化の在り方をめぐる静かなアイロニーを忍ばせる。

人工的な自然でありながら、そこに立つ者の視線や経験によって異なる風景を立ち上がらせる可変的な場でもある「庭」。
単なる対象ではなく、視覚的経験を媒介にして個人の記憶や感覚を呼び起こすその装置性を通じて、鑑賞者に自らの視線の軌跡を辿らせ、多様な読み解きと想像の余地を生成していく。

アメリカ的なガーデニングに用いられるガーデンオブジェの外形に共通性を持たせた永井の新作群は、可視と不可視、内と外といった2項の間にある曖昧な領域を形にしながら、現代における「像」の不確かさを示唆。

川谷はアメリカという言葉を冠しながら日本の手芸文化でしか流通していない造花「アメリカンフラワー」に注目し、名称と実態のずれをユーモラスかつ批評的に表現する新たなシリーズを展開する。
20世紀中盤のアメリカにおける「幸せな家庭像」のイメージや、それに付随する時代感覚と現在との違いを織り込んだ作品は、高解像度なデジタルイメージを駆使した手法によって鑑賞者に穏やかな違和感を与える。

視線を操作しながら意味を生成していく、装置としての「庭」のモチーフ。
メディアを異とする2人のアーティストによる、視覚体験に対する新たな提案を受け取って。



PARCEL
parceltokyo.jp/



【Solaya Nagai × Kohei Kawatani “The Garden”】
DATE:10月19日(日)まで開催中
※月曜、火曜、祝日定休
TIME:2:00pm~7:00pm
PLACE:parcel
ADDRESS:東京都中央区日本橋馬喰町2-2-1 DDD hotel内 1階
ADMISSION FREE
WEBSITE:parceltokyo.jp/exhibition/the-garden/

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