Taro Mizutani
絵画のような儚いイメージが提示する写真の二相性
写真家 水谷太郎の個展「淼/びょう」が、「HENDER SCHEME」が運営するオルタナティブスペース 隙間にて4月16日(日)まで開催中。
1975年に東京で生まれ、東京工芸大学芸術学部写真学科を卒業後、20代でファッションやカルチャー誌のエディトリアルにおける実験的な写真表現を追求した水谷太郎。
その後、ファッションブランドのキャンペーンやアーティストのポートレート、広告といったフィールドを中心に、写真や映像表現を展開してきた。
またコミッションワークと並行し、時にそれらと間接的な関係から生み出されるパーソナルな作品も継続的に発表している。
今展「淼/びょう」では、2022年の冬にドイツ・ベルリンで撮影された未発表の新作が一挙に公開される。
一見、絵画のようにも見える水面の写真は、レンズとなった写真家の目が運河に映る歪んだ波の反射をサイケデリックなイメージとして捉えたもの。
さらに撮影した画面を反転させるという最小限の操作を加えることによって、具象と抽象、意識と無意識、現実と虚構の間を提示している。
メディアである写真は、ある具体的な対象を写すと同時に、それではない別の何かやどこかへの変換可能性を秘めており、
「一瞬でなくなる世界、景色、境界。意志と偶然の狭間に写真の儚い夢を見る」と語る水谷は、そうしたイメージの二相性を差し出すように、曖昧で不定形な画面を作り出した。
画面の中に潜む、もう1つのリアル。
虚実の狭間から湧き出す芸術が、観る者の想像を掻き立てる。
SUKIMA
sukima.henderscheme.com
【Taro Mizutani “淼/びょう”】
DATE:4月16日(日)まで開催中
TIME:12:00pm~7:00pm
PLACE:隙間
ADDRESS:東京都台東区蔵前3-11-2 1階
ADMISSION FREE
WEBSITE:sukima.henderscheme.com/exhibition/taro-mizutani