Kenshu Shintsubo

Top Photo:《焚き火2》2023、ラムダプリント、アクリルマウント、629×420mm©︎SHINTSUBO Kenshu, Courtesy of the artist and Mizuma Art Gallery

Kenshu Shintsubo

かすかに揺らめく風景と意識の手触り

写真家 新津保建秀の個展「消え入りそうなほど 細かくて 微妙な」が、ミヅマアートギャラリーにて5月20日(土)まで開催中。

《焚き火2》2023、ラムダプリント、アクリルマウント、629×420mm©︎SHINTSUBO Kenshu, Courtesy of the artist and Mizuma Art Gallery
《偽陽性_犬》2018、ラムダプリント、アクリルマウント、1800×1200mm©︎SHINTSUBO Kenshu, Courtesy of the artist and Mizuma Art Gallery

透明感のある独特な作品を特徴とし、ポートレートや風景、建築写真などの領域で活躍する写真家 新津保建秀。
1968年に東京で生まれた彼は、映像制作をきっかけに独学で写真を習得し、数多くの仕事で高い評価を得てきた。

また、雑誌 思想地図βで行った東北地方やウクライナでのドキュメンタリー撮影、複雑系科学・人工生命の研究者である池上高志、音楽家のevalaらと体験型VRのインスタレーション作品にも取り組むなど、さまざまな分野の人々との協働によるプロジェクトを通して表現の幅を広げている。

さらに2020年には東京藝術大学大学院美術研究科油画を修了しており、写真家のキャリアと並行して美術を研究する中で、それまで取り組んでいた「風景」という対象と身体性について再考してきた。

《水鏡》2023、ラムダプリント、アクリルマウント、594×445mm©︎SHINTSUBO Kenshu, Courtesy of the artist and Mizuma Art Gallery

今展は、よりしなやかな眼差しを掴んできた彼のここ数年間の活動を凝縮した展覧会。

諏訪で見た焚き火や熊本の震災後に土砂崩れによってできた滝、逢魔時に見た空とそれを映す水面、そしてPhantomという超高速度カメラで捉えた火の揺らめきなど、その風景や被写体はどこか異形で、⾒知らぬ風情をまとっている。

普段は被写体となる人物に背後の風景を「被せる」ように撮影するという彼だが、今回の作品では風景や被写体に人のような存在や気配を見出し、図らずもそこに反応する自身の意識も被さっている。
その写真からは実際に、被写体を目の当たりし、反応する彼の身体や心の機微のような、目には見えない何かの手触りを感じることができる。

またタイトルの「消え入りそうなほど 細かくて 微妙な」は、人間とは異なる存在である人工知能との対話から出てきた言葉であり、彼の写真をぎこちなくも的確に示している。

《往還の風景_山田牧場》2016、ラムダプリント、アクリルマウント、1200×1800mm©︎SHINTSUBO Kenshu, Courtesy of the artist and Mizuma Art Gallery

主観的な時間の中でかすかに立ち上がる、目に見えない形。
写真にとどめられた、儚く移ろう存在を感じ取って。



MIZUMA ART GALLERY
03-3268-2500




【Kenshu Shintsubo “To the point of disappearing, so fine, and so subtle”】
DATE:5月20日(土)まで開催中
※日曜、月曜、祝日休廊
TIME:12:00pm~7:00pm
PLACE:ミヅマアートギャラリー
ADDRESS:東京都新宿区市谷田町3-13 神楽ビル2階
ADMISSION FREE
WEBSITE:mizuma-art.co.jp/exhibitions/2304_shintsubo/?utm_source=BenchmarkEmail&utm_campaign=Apr_19_MIZUMA&utm_medium=email

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