Photography and Portraiture: From Faces to Landscape

Top Photo: ハンネ・ファン・デル・ワウデ《MC1R (Natural red hair) - Monica》2007年 © Hanne van der Woude
Top Photo: 山元彩香《Untitled / Nous n'irons plus au bois》2013年 © Ayaka Yamamoto

Photography and Portraiture: From Faces to Landscape

写真を通じて世界を写す、若き才能たち

清里フォトアートミュージアムの開館30周年を記念した展覧会の後期「写真と肖像 顔から風景へ」が、10月13日(月・祝)まで開催中。

アダム・パンチュク《カルチェビー》2008年 © Adam Panczuk

今年で開館30周年を迎える、山梨県北杜市の写真専門美術館・清里フォトアートミュージアム(KMoPA)。

1995年の開館記念展では、若い写真家たちを刺激し、激励することを目的とした「25人の20代の写真」展が開催された。

今回の30周年記念展ではそのオマージュも込めて、1万点以上におよぶKMoPAコレクションの中から「25人のU35(35歳以下)の写真」を新たな視点で厳選。
写真表現とKMoPAの出発点を改めて見つめ直す展覧会として2期に分けて開催されている。

ジョー・アン・キャリス《無題》1974年 © Jo Ann Calis

前期の「冒険」に続く本展では、「肖像」をテーマに、自己と他者、社会、風景の重層的な関係に視点を置いた作品を展示。

出品作家には、1868年生まれの巨匠から1992年生まれの新進気鋭の作家まで、幅広い世代が名を連ねる。
いずれの作品も、作家が35歳以下の時に制作された写真で構成されている。

エドワード・S. カーティス《シワワチワ ズニ族》1903年
山元彩香《Untitled / Nous n'irons plus au bois》2013年 © Ayaka Yamamoto

展示は、「他者に触れる」、「私とは誰か セルフポートレイトとジェンダー」、「共同体を生きる」、「ドキュメンタリー」、「人と風景」の5章で構成。

「他者に触れる」では、Edward Sheriff Curtisにより20世紀初頭に撮影された、古典技法を用いた作品6点を展示。
アメリカ先住民の尊厳ある姿を後世に伝えるべく、プラチナ・プリントやオロトーンの技法を用いて撮影された作品は、先住民たちの文化が失われつつある現実にさまざまな問いを投げかける。

また、異国の地で言葉も通じない被写体と共に時間を過ごして制作したという山元彩香の作品は、鑑賞者に捉え難さを残したまま「他者」の存在を感じさせる。

ハンネ・ファン・デル・ワウデ 《MC1R (Natural red hair) - Monica》2007年 © Hanne van der Woude
桑島 生《極寒未来都市アスタナ(1)》2010年 © Ikuru Kuwajima
植田正治《少女たち》1945年 © Shoji Ueda / Shoji Ueda Office

女性作家のセルフポートレートで構成された「私とは誰か セルフポートレイトとジェンダー」では、ファブリケイテッド・フォトグラフィーの分野で、Cindy Shermanに先がける作家として再評価が進むJo Ann Callisの初期作品が登場。

その他、オランダ独特の平坦な風景をバックに赤毛の人物を捉えたHanne van der Woude、極寒の冬にも人工的な南国都市を造ろうとするカザフスタンの都市を写した桑島生、鳥取砂丘で撮り続けた植田正治、東日本大震災後に被災地である三陸と福島に通い続けて撮影した田代一倫などの25人の作品が展示される。

最後を飾るのは、Robert Frankの一大コレクションの中から選ばれた作品「アメリカ人」など14点。

ポートレートやドキュメンタリー、スナップショット、風景の垣根を超えて立ち現れる「肖像」の輪郭が、写真を通じてさまざまな問いを投げかける。

田代一倫《はまゆりの頃に #8》2011年 © Kazutomo Tashiro

時代を超えて読み解く、自己と社会の多層的な関係。
写真家たちが紡いできた世界への問いが並ぶ、重要な機会を逃さないで。



KIYOSATO MUSEUM OF PHOTOGRAPHIC ARTS
0551-48-5599



【Photography and Portraiture: From Faces to Landscape】
DATE:10月13日(月・祝)まで開催中
※火曜休館
※9月1日(月)までは無休
※9月23日(火・祝)は開館
TIME:10:00am~5:00pm
※入館は4:30pmまで
PLACE:清里フォトアートミュージアム
ADDRESS:山梨県北杜市高根町清里3545-1222
ADMISSION:一般 ¥800
※大学生以下無料
WEBSITE:www.kmopa.com/kmopa%E9%96%8B%E9%A4%A830%E5%91%A8%E5%B9%B4%E8%A8%98%E5%

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