Goki Muramoto
視覚をめぐる独自のメディア
アーティスト 村本剛毅による個展「Univocity of Mediation:Beautiful Medium」が、parcelにて8月24日(日)まで、またNEORT++にて8月17日(日)まで同時開催中。
Goki Muramoto, Lived Montage, 2021-, mixed media, Photo by Kai Fukubayashi
独自の「媒体」を発明・彫刻する実践を通じて、知覚やコミュニケーション、移動を含む「媒介」について探求する村本剛毅。
制作と並行して、内容に開かれた媒体そのものを芸術作品とする実践を「メディウムアート/Medium-Art」と名づけ、その理論的背景と系譜のリサーチを行う。
Goki Muramoto, Imagraph (series), 2020-, mixed media, Photo by Kai Fukubayashi
parcelとNEORT++の共同企画による本展は、村本の代表的な3つのシリーズ「Imagraph」、「Lived Montage」、「Training Wheels」を同時公開する初個展。
一連の作品は、彼が実践する「媒体芸術/Medium-Art」そのものを提起する。
「Imagraph」は、閉じた眼に対してまぶた越しに映像を投影する光学装置。
イメージ(image)を描く(graph)装置と名づけられたこのメディアは、イメージの始まりを連想させる奇妙な視覚体験と共に、見るもの/見せるものとして私たちが持っている自由を問い正す。
会場では装置を鑑賞するスペースに加え、このメディアを理解するためにキュレーションされた資料と、小作品「『after-study for Imagraph』-それは作品を生み出すための習作(study)ではなく、作品を理解するために事後的に行われるstudyです-」が展開される。
Goki Muramoto, Lived Montage, 2021-, mixed media, Photo by Kai Fukubayashi
Goki Muramoto, Training Wheels, 2022-, mixed media
「Lived Montage」は、知覚の形態として映画的モンタージュを再構築するためのゴーグル型の装置。
装置にはカメラと両眼ディスプレイが組み込まれており、参加者の目には、全員の元の視界をリアルタイムに編集したシネマティックな映像が投影される。
本展では、「同じものを見た全員の視界が心拍のタイミングで切り替わる」というバージョンが実演され、動的に変容する集合的な身体と抽象的な空間認識を形成する中、「何が、何を、見ているのか」という視界の構造に対する根源的な問いを提示する。
「Training Wheels」は、穴の空いた真鍮の円盤とそれに1対1で対応するインストラクションによって構成された詩的な作品シリーズ。
「~(想像)しなさい」という指示をメディアの水準に置いて行う本作は、媒体そのものを芸術作品とする彼の制作態度を簡潔に示すものでありながら、見る者の能動的な努力によってあらゆる関係の鮮烈な変容を引き起こす。
Goki Muramoto, Typography for Medium/Media Art, 2020, print