Midori Sato

Top Photo:Bouquet of roses I 2019 Oil and acrylic on canvas 50.0 x 60.6 cm © Midori Sato

Midori Sato

可憐な花々を思わす、甘い夢のような色彩美

東京を拠点に活動を行うアーティスト 佐藤翠の個展「Diaphanous petals」が、2020年4月5日(日)までポーラ美術館にて開催中。


佐藤はこれまでに、服や靴などのファッションアイテムがひしめくクローゼットや、装飾的な文様で覆われたカーペット、そして色彩豊かな花々を、油彩やアクリルを用いて制作。
ドレスやハイヒール、花や果物など、一貫して女性的なモチーフにこだわりながら、正面観を意識した構図やコントラストの色彩表現、身体性を感じさせる力強い筆のストロークによって、独自の絵画表現を追求してきた。

Diaphanous pink window I 2019 Glitter, oil and acrylic on canvas  194.5 x 259.3 cm, photo by Kenji Takahashi © Midori Sato, Courtesy of Tomio Koyama Gallery / Koyama Art Projects

美術館で開く個展としては初となる今展では、6点の新作がお披露目。
縦1.94×横2.59mに及ぶ「Diaphanous pink window I」を含む大作3点と、これまでも連作として描いてきた花やカーペットをモチーフとした作品3点が展示される。

光あふれるショーウィンドウを描いた大作3点では、ガラス壁から自然光が差し込む開放的なポーラ美術館の展示空間にインスパイアされた佐藤が、閉ざされた室内を暗示する色彩表現を用いた従来の「クローゼットシリーズ」から一転し、柔らかな光で満たされた空間の抽出に挑んでいる。

Diaphanous pink window II 2019 Glitter, oil and acrylic on canvas  194.2 x 259.3 cm, photo by Kenji Takahashi © Midori Sato, Courtesy of Tomio Koyama Gallery / Koyama Art Projects

かすれた筆跡や滴り落ちる絵具の線、油彩とアクリルが混ざり合うことで生じたにじみは、光のきらめきや反射、ハレーションのような効果をもたらし、鑑賞者の眼を心地よく刺激する。

また、人工的に作り出された服を描きながらも、透明な花弁が重なり合うような儚さを感じさせ、その一方で規則的な服の連なりが多彩な色の線となり、限りなく抽象的で軽やかな表現へと近づけた。


華やかな香りを振りまく、フェミニティに満ちた美しき抽象的表現。
具象と抽象、現実とイマジネーションの狭間を浮遊する色彩の魅力に、心を奪われて。



POLA MUSEUM OF ART 0460-84-2111



【Diaphanous petals by Midori Sato】
DATE:2020年4月5日(日)まで開催中
TIME:9:00am~5:00pm
※入館は4:30pmまで
PLACE:ポーラ美術館 アトリウム ギャラリー
ADDRESS:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山 1285
ADMISSION FREE
WEBSITE:www.polamuseum.or.jp/hiraku_project/10/

SHARE