If I must die, you must live

Top Photo:© Henk Visch, courtesy WAKO WORKS OF ART

If I must die, you must live

アートを通して巡らせる、パレスチナへの想い

オランダ出身の作家 Henk Vischのキュレーションによる、パレスチナ出身の詩人や画家の作品にフォーカスした展覧会「If I must die, you must live」が、ワコウ・ワークス・オブ・アートにて6月29日(土)まで開催中。


本展はHenk Vischの新作を含む彫刻作品やドローイング、パレスチナ出身のMosab Abu Tohaの詩、Sliman Mansourのエディション作品、ガザのためにアーティストたちが制作したポスター(Posters for Gaza)を中心に紹介。

また、長年Vischと親交があり、今回の企画の意図に賛同した奈良美智の新作も展示される。

展覧会タイトルは、1979年生まれのパレスチナの詩人 Refaat Alareerが2011年に書いた詩の冒頭部分。
2023年の11月にこの詩をSNSに投稿した彼はその翌月、空爆によって命を落とした。
Alareerが残したこの詩が、展覧会全体を通底するメッセージとなっている。

© Henk Visch, courtesy WAKO WORKS OF ART

1950年にオランダに生まれたVischは、詩的で哲学的な思索から生み出される擬人化された立体や、鑑賞者の記憶に強く残る抽象性の高い造形作品によって80s頃から知名度が上昇。
1988年のヴェニス・ビエンナーレや1992年のドクメンタ9をはじめとする数々の国際展に参加すると共に、00s以降は日本やシンガポール、中国などアジアにも活動の場を広げている。

ガザ地区の難民キャンプで生まれ育ったMosab Abu Tohaは、学生の頃より詩の世界に親しみ、2022年に出版した詩集「Things You May Find Hidden in My Ear: Poems from Gaza」はパレスチナ・ブック・アワードやアメリカン・ブック・アワードを受賞、全米批評家協会賞の最終候補にも選出。
2017年にはガザで初めての英語図書館であるエドワード・サイード公共図書館を創設し、2017年から2019年までガザのUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)学校で英語教師として教鞭をとっていた。

Sliman Mansourは1973年にパレスチナ芸術家連盟を、1994年にはエルサレムにアル・ワシティ・アート・センターを共同設立しディレクターを務めるなど、長年パレスチナの美術界を牽引してきた画家の1人。
第1次インティファーダ(蜂起)の際には、他の作家たちと共に「New Vision」アート運動を始め、身の回りにある泥や木材、染料などの素材を作品に使用したことでも知られる。
伝統的な衣装を身にまとった人々の姿や、パレスチナの土地を題材にした作品は、人々の長年にわたる苦難と抵抗の記憶を伝えている。


世代の異なる作家たちの感情や言葉が響き合う本展。
現在もなお苛酷な状況下にある人々に、想いを巡らせて。



WAKO WORKS OF ART
03-6447-1820



【“If I must die, you must live” Henk Visch, Mosab Abu Toha, Refaat Alareer, Sliman Mansour, Yoshitomo Nara, Posters for Gaza】
DATE:6月29日(土)まで開催中
※日曜、月曜、祝日休廊
TIME:12:00pm~6:00pm
PLACE:ワコウ・ワークス・オブ・アート
ADDRESS:東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル3階
ADMISSION FREE
WEBSITE: www.wako-art.jp/exhibitions/ifimustdieyoumustlive/

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