1959年に青森県弘前市に生まれた奈良美智は、愛知県立芸術大学大学院修士課程を修了した後、1988年にドイツのデュッセルドルフ芸術アカデミーに入学。
卒業後はケルンを拠点に作品を制作し、2000年に日本に帰国して以来、国内外の展覧会で発表を続けてきた。

近年も2021年に台湾の3ヶ所を巡回した「Yoshitomo Nara」、2023年青森県立美術館での「The Beginning Place ここから」など多くの個展を開催し、世界中から高い評価を受けている。

東日本大震災をきっかけに自身のルーツを探る「旅」をするようになった彼は、2014年に亡き祖父の出稼ぎ先であったサハリンへ赴き、時代に翻弄された少数民族の人々やその風景を撮影した作品「SAKHALIN」を制作。

近年では自身のルーツを越えて北海道の白老町や洞爺湖町にある集落を頻繁に訪れ、顔の見える小さなコミュニティの中で信頼関係を築きながら、彼らと日常を共に過ごしている。
一方でサハリンへの旅は、オランダ、清国、そして日本に統治された歴史を持つ島 台湾へ、その辺境にある山岳地帯や小さな町に住む人々や風景へと繋がった。

旅の中で自分を構成するものを探し求める奈良は、「中央から離れて地方や辺境に向かうのは、自分が自分であり続けるためかもしれない」と語る。

本展では、そうした北海道と台湾への旅の中で撮影された写真作品を展示。

2020年から2023年にかけて集落での日常を映した北海道のシリーズ、2023年に台湾の高雄市近辺への旅の中で撮影した風景の作品など、何気ない日々を捉えた写真は、その土地に時間が流れ人々の暮らしがそこにあることを確かに感じさせる。

写真を撮る行為を「ドローイングと似ている」と表現する彼の目、あるいはレンズを通した世界の見方を提示するそれらは、作家の感性に直に触れさせてくれる。

連綿と続く伝統に息づく、時間と温もり。
自己を見つめて旅を続ける作家が捉えた、生命力に満ちた世界に潜り込んで。



TAKA ISHII GALLERY PHOTOGRAPHY / FILM
03-5575-5004



【Yoshitomo Nara “From Hokkaido, From Taiwan”】
DATE：12月26日（火）まで開催中
※日曜、月曜、祝日定休
TIME：12:00pm～7:00pm
PLACE：タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー / フィルム
ADDRESS：東京都港区六本木5-17-1 AXISビル 2階
ADMISSION FREE
WEBSITE：www.takaishiigallery.com/jp/archives/31349/