Top Photo:佐藤雅晴, 東京尾行, 12 チャンネル ビデオ, 2015-2016 ©Masaharu Sato Top Photo:佐藤時啓, 光-呼吸, ピグメントプリント, 2020 ©Tokihiro Sato
現代美術にフォーカスを当ててきた原美術館が、品川での最後の展覧会「光―呼吸 時をすくう5人」を、2021年1月11日(月・祝)まで開催中。
手に余る世界の情勢に翻弄され、日々のささやかな出来事や感情を記憶する間もなく過ぎ去ってしまいそうな2020年。 慌ただしさの中で視界から外れてしまうものに眼差しを注ぎ、心に留め置くことはできないかという想いから企画された今展では、先行きが不透明な中でも静かに自身の立ち位置から社会を省察し、観る人の心に深く語りかける5人の作家の作品を紹介。 今井智己、城戸保、佐藤時啓の写真を中心とする表現に加え、原美術館のコレクションから佐藤雅晴のアニメーションとLee Kitのインスタレーションが出品される。
今井智己は、福島第一原子力発電所から30km圏内の数ヶ所の山頂より原子炉建屋の方向にカメラを向けた「Semicircle Law」(2013-)に、原美術館から同方角を捉えた新作を加えて展示。 「真昼」(2001)や「光と重力」(2009)などの清らかさを湛える初期作品を併せて展示し、今井の作品に通底する意識を探っていく。 城戸保は、今展原美術館での撮影も行い、日常生活の延長線上に現れる豊かな世界を作品化。 「突然の無意味」と本人が表現する、何気ない日常風景の中で本来の役割や用途からズレた「もの」を捉え、「見る事やある事の不思議」を考察する。 写真の構造にも関心を持ち、色や光による構図の追求や技術的実験を試みた。
佐藤時啓は、今展終了時に閉館となる原美術館と、2021年から原美術館ARCと改称して活動を続けていく今美術館をモチーフに、デジタルカメラを用いた新たな「光―呼吸」を展示。 佐藤は、80sより光、時間、空間、身体、生命をテーマに写真表現に取り組んできており、代表作「光―呼吸」は、長時間露光を駆使し、風景の中をペンライトや鏡を持って歩き回り、光と自身の移動の軌跡をフィルムに定着させるシリーズとなっている。 2019年に惜しくも亡くなった佐藤雅晴の作品からは、5年前に五輪へと向かう東京の姿を撮影しトレースした「東京尾行」(2015-2016、原美術館蔵)を展示。 実写映像を忠実にトレースしたアニメーションで独自の表現を追求し、実写とアニメの微かな差異が虚実の曖昧な新たな視覚体験を観る者にもたらす。
Lee Kitは、人工光と展示室に差し込む自然光が相まった静謐なインスタレーション「Flowers」(2018、原美術館蔵)を展示。 台北を拠点に各国の美術館やギャラリーで、制作する土地や展示空間の声を聞きながら滞在制作を行う彼が生み出す、日用品と絵画・映像を組み合わせる詩的な作品には、社会や政治への問題意識も内包されている。 表し方は異なるものの、そこにある時間や空間に光を当て、自身を取り巻く社会の息遣いを形にし続けてきた作家たち。 彼らの作品を通して、意識されぬまま過ぎ去る時をすくい、2020年の景色を記憶に刻んで。 HARA MUSEUM OF CONTEMPORARY ART 03-3445-0651 【Time Flows: Reflections by 5 Artists】 DATE:2021年1月11日(月・祝)まで開催中 ※入館はウェブサイトでの事前予約制(定員につき予約受付終了)。 キャンセルが出た場合は予約サイトのカレンダーに反映されます。 ※12月28日(月)~1月4日(月)休館 TIME:平日 11:00am~4:00pm、土日祝 11:00am~5:00pm PLACE:原美術館 ADDRESS:東京都品川区北品川4-7-25 ADMISSION:⼀般 ¥1,100、⼤高生 ¥700、小中生 ¥500、70 歳以上 ¥550 WEBSITE:www.haramuseum.or.jp/jp/arc/
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