Shiori Watanabe

Top Photo:展示風景 撮影:加藤 健
Top Photo:《Sans room》(金魚)2017~ 撮影:加藤 健

Shiori Watanabe

「宿」をテーマに昇華される生命観

アーティスト 渡辺志桜里による展覧会「渡辺志桜里 宿/Syuku」が、資生堂ギャラリーにて12月26日(木)まで開催中。

展示風景 撮影:加藤 健
展示風景 撮影:加藤 健

1984年、東京都に生まれた渡辺志桜里は、2008年に中央大学文学部仏文学専攻を卒業したのち、東京藝術大学に入学。
2015年に美術学部彫刻科を、2017 年には同大学大学院美術研究科彫刻専攻を修了した。

以降、外来種や絶滅種といった人間と自然との間に生じるコンフリクトを想起させるモチーフに焦点を当て、人間同士にはらむ課題を暗示する作品を多く手がけている。

《Sans room》(金魚)2017~ 撮影:加藤 健
《Sans room》(イネ)2017~ 撮影:加藤 健

本展では、水槽やプランターなどをホースで繋ぎ、水やバクテリアを循環させて自律した生態系を構築する渡辺の代表作「Sans room」を、ギャラリーの空間を活かして過去最大規模で展示。

さらに、能の演目「翁」をインスピレーション源として能楽師の加藤眞悟や安田登、情報学研究者のDominique Chenらと共に制作した新作能の映像インスタレーションでは、人間に神が「宿」り、祈りを捧げ、再び人間に戻るという、人間・神・自然の循環的な関係、日本列島に眠るマージナルな自然観を描き出す。

また、渡辺は現代は――特に新型コロナウイルスの流行以降、人間の身体を「宿」主としてウイルスが生存している意識や、国家・コミュニティを越え、他種や他者との共生へ向かう感覚が高まっているのではないかと指摘する。

本展の展示作品は自然と人間の関係を長い時間軸で捉え、「宿」という観点から照射し、そこに隠れる諸問題を浮かび上がらせる。

《堆肥国家》2024, レジン、外来魚ボックスに入れられたブルーギル 撮影:加藤 健

「宿る」ことから表現された、人間と自然の関係性。
境界を越えて共に生きる、未来への手がかりを探して。



SHISEIDO GALLERY
03-3572-3901



【Shiori Watanabe “Syuku”】
DATE:12月26日(木)まで開催中
※月曜休館
TIME:11:00am~7:00pm
※日曜、祝日は6:00pmまで
PLACE:資生堂ギャラリー
ADDRESS:東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階
ADMISSION FREE
WEBSITE:gallery.shiseido.com/jp/exhibition/7689/

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