Toulouse Lautrec × Sophie Calle

Top Photo:アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《『彼女たち』 行水の女―たらい》、1896年、リトグラフ/紙、三菱一号館美術館蔵

Toulouse Lautrec × Sophie Calle

「不在」をテーマに繋がる、世紀を隔てた2人の美術家

19世紀末フランスの画家 Toulouse Lautrecと現代フランスの美術家 Sophie Calleの展覧会「再開館記念『不在』―トゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル」が、三菱一号館美術館にて2025年1月26日(日)まで開催中。

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《メイ・ミルトン》、1895年、リトグラフ/紙、三菱一号館美術館蔵
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《エルドラド、アリスティド・ブリュアン》、1892年、リトグラフ/紙、三菱一号館美術館蔵

1864年、フランス南部アルビの名門伯爵家に生まれたToulouse Lautrecは、1878年の怪我による長期療養中に素描に没頭し、画家を志す。

両親の知人でもあった動物画家 René Princeteau などに学び伝統的絵画・素描技法を身につけていく中で、Émile Bernard やVincent van Goghに出会い、前衛的作家が主宰するアンデパンダン展などに参加。

そして1891年に初となるポスター「Moulin Rouge La Goulue」で成功を収め、その斬新な表現によりポスター芸術の代表的革新者と目されるも、1901年に36歳で逝去した。

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《ジャヌ・アヴリル(ジャルダン・ド・パリ)》、1893年、リトグラフ/紙、三菱一号館美術館蔵
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《『イヴェット・ギルベール』表紙》、1894年、リトグラフ/紙、三菱一号館美術館蔵
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《ロイ・フラー嬢》、1893年、リトグラフ/紙、フランス国立図書館蔵

Sophie Calleは1953年パリに生まれた現代美術家。10代の終わりから7年間の放浪生活を経て26歳でパリに戻り、その頃より制作活動を開始する。

以後、自伝的作品をまとめた「True Stories(本当の話)」(1994)、自身の失恋体験による痛みとその治癒を主題とした「Exquisite Pain(限局性激痛)」(1999)など、テキストや写真、映像などを組み合わせた作品を数多く制作してきた。

また、「見ることとは何か」を追求したシリーズ「Blind(盲目の人々)」(1986)、「Last Seen(最後に見たもの)」(2010)などを通して、美術の根幹に関わる視覚や認識、「喪失」や「不在」についての考察を行っている。

ソフィ・カル氏ポートレート Sophie Calle Photography : Yves Géant

本展は、設備メンテナンスのため長期休館していた三菱一号館美術館の再開館を記念して開催。
同館のコレクションの核を成すLautrecの作品を改めて展示し、そこに2020年の開館10周年記念展への招聘予定が新型コロナウイルスの流行により断念されたCalleを改めて招くことで、時代を超えた協働プロジェクトが実現した。

主題である「不在」は、長年にわたり「喪失」や「不在」について考察を巡らせているCalleが提案したもの。
一方、生涯にわたって人間を凝視し、その心理にまで踏み込んで作品を描き続けたLautrecは「不在」と表裏一体にある「存在」について「人間だけが存在する。風景は添え物に過ぎないし、それ以上のものではない」と示唆深い言葉を残している。

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《『彼女たち』 行水の女―たらい》、1896年、リトグラフ/紙、三菱一号館美術館蔵
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《54号室の女船客》、1896年、リトグラフ/紙、三菱一号館美術館蔵

本展では、同館が所蔵するLautrecの主要版画作品や版画集を中心とした136点により、「時代の記録者」である彼の作品を「存在」という視点から再考。

Calle作品からはその多くに通底する「不在」をテーマに、作家自身や家族の死にまつわる「Autobiographies(自伝)」や、額装写真の前面にテキストを刺繍した布が垂らされ、その布をめくると写真が現れる「Because(なぜなら)」など、テキストと写真を融合した代表的なシリーズが紹介される。
その他、美術館における絵画の盗難に端を発したシリーズ「What Do You See?(あなたには何が見えますか)」や映像作品「Voir la mer(海を見る)」(2011)など、彼女の多様な創作活動を辿れる内容となっている。


時代を隔てた2人の作家が考える、「喪失」と「不在」、そして「存在」。
再び始動した場所で、不在から見えてくる繋がりを探してみては。



HELLO DIAL
050-5541-8600



【Commemorative Reopening Exhibition: Absences - Toulouse-Lautrec & Sophie Calle】
DATE:2025年1月26日(日)まで開催中
※月曜、12月31日(火)、2025年1月1日(水)休館
※ただし11月25日(月)、12月30日(月)、2025年1月13日(月・祝)、20日(月)は開館
TIME:10:00am~6:00pm
※祝日を除く金曜、第2水曜、会期最終週平日は8:00pmまで
※入館は閉館の30分前まで
PLACE:三菱一号館美術館
ADDRESS:東京都千代田区丸の内2-6-2
ADMISSION:一般 ¥2,300、大学生 ¥1,300、高校生 ¥1,000
※中学生以下無料
※チケットに関する詳細は、展覧会のウェブサイトをご確認ください。
WEBSITE:mimt.jp/ex/LS2024/

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