Yusuke Yamatani
野湯で写した、古くから変わらぬ人間の営み
写真家 山谷佑介の写真集「ONSEN MMXXIV」が、flotsam booksより発売中。
あわせて個展「ONSEN」が、タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルムにて12月14日(土)まで開催されている。
1985年に新潟県で生まれ、立正大学文学部哲学科を卒業した山谷佑介は、2013年にユースカルチャーの儚い姿をストレートなモノクローム写真で捉えた写真集「Tsugi no yoru e」を発表し、初の個展を開催。
以降ライブハウスやクラブの床、自身の新婚旅行、深夜の住宅街、セルフポートレートなどさまざまなテーマの作品を展開し、現代人を取り巻く世界の在り方についてのユニークなヴィジョンを提示し続けてきた。
「ONSEN」は、山谷が約15年前から野湯と呼ばれる自然の中で自噴する未整備の温泉巡りをもとに制作しているシリーズ。
野湯一帯が作り出す、現世と後世が交差するような剥き出しの風景に心を奪われた彼は、友人や家族、時にはSNSやZINEで参加者を募りながら温泉巡りを続けてきた。
温泉文化の歴史は古く、「日本書紀」や「古事記」の中で男女が一緒に飲食し、歌を交わして親睦を深める場として記述されている。
「ONSEN MMXXIV」は、荒涼とした風景や山、地表、硫黄、噴煙、そこに佇む人や肌に加え、道中の車窓や食事、そして同行者が撮影した写真も織り交ぜながら、旅の中で交わされた13万文字にも及ぶ会話のテキストが繰り返し挿入された1冊。
山谷は自然の造形美だけでなく、SNSを使い偶発的に集まった見知らぬ者同士のプリミティブなコミュニケーションを通して、いつの時代も変わらない人間の営みに焦点を当てている。
野湯探しという探検は、時代や場所を超えた記憶という、「それはかつてあった」風景を探る試みとも言える。
また、あわせて個展「ONSEN」が、タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルムにて12月14日(土)まで開催中。
彼がそのキャリアの中で最も長く継続している「ONSEN」シリーズの作品群を、新たな編成で発表する。
時代や場所を超えて呼び起こされる、古くからの風景。
他愛もない会話の中で高まっていく、非日常への期待感を追体験してみては。
FLOTSAM BOOKS
www.flotsambooks.com/
【Yusuke Yamatani “ONSEN”】
DATE:12月14日(土)まで開催中
※日曜、月曜、祝祭日定休
TIME:12:00pm~7:00pm
PLACE:タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム
ADDRESS:東京都港区六本木5-17-1 AXISビル 2階
ADMISSION FREE
WEBSITE:www.takaishiigallery.com/jp/archives/33292/
【“ONSEN MMXXIV” by Yusuke Yamatani】
PRICE:¥3,850
AVAILABLE TO BUY FROM:www.flotsambooks.com/SHOP/ONSENMMXXIV