Nakaji Yasui

Top Photo:《作品》1939年(モダンプリント制作:2023年)
Top Photo:《(構成 牛骨)》1938年頃、個人蔵(兵庫県立美術館寄託)

Nakaji Yasui

無二の感受性が光る、日本近代写真の金字塔

戦前の日本写真を牽引した安井仲治の回顧展「生誕120年 安井仲治 僕の大切な写真」が、東京ステーションギャラリーにて4月14日(日)まで開催中。

《(馬と少女)》1940年、個人蔵(兵庫県立美術館寄託)
《(構成 牛骨)》1938年頃、個人蔵(兵庫県立美術館寄託)

アマチュア写真家たちの旺盛な探求により、写真が豊かな芸術表現として成熟していった大正・昭和戦前期の日本。

当時を牽引した写真家の代表格である1903生まれの安井仲治は、欧米の先進的な写真をいち早く受容し、それらを換骨奪胎することで新しい表現を次々に生み出した。

《(サーカスの女)》1940年、個人蔵(兵庫県立美術館寄託)

日本写真史にその名を刻む彼の最大の魅力は、混沌とした世界の一隅にカメラを向け、そこに隠された美を抽出する卓越した感性。
約20年という短い活動期間のうちに生み出した多彩な作品は、同時代の写真家をはじめ、土門拳や森山大道など後世の写真家たちからも大きな称賛を得ている。

《作品》1939年(モダンプリント制作:2023年)
《蛾(二)》1934年、個人蔵(兵庫県立美術館寄託)

約20年ぶりの回顧展となる本展では、戦災を免れたヴィンテージプリント約140点、ネガやコンタクトプリントの調査に基づいて制作されたモダンプリント約60点の他、さまざまな資料を展示。

大阪中之島のメーデーを撮った連作「メーデー」、第二次世界大戦中に神戸に逃れてきたユダヤ人たちを写した「流氓ユダヤ」、撮影現場にあるものを自由に構成する手法を用いた「半静物」などの名作群も披露され、安井の活動を実証的に跡づける。

《流氓ユダヤ 窓》1941年、個人蔵(兵庫県立美術館寄託)
《(凝視)》1931年(モダンプリント制作:2023年)

慈しみの眼差しが見出した、世界の小さな秘密。
戦前写真界のフロントランナーが残した偉大な仕事が、新鮮な驚きと共に蘇る。



TOKYO STATION GALLERY
03-3212-2485



【Yasui Nakaji 1903-1942: Photographs】
DATE:4月14日(日)まで開催中
※月曜休館
※ただし 4月8日(月)は開館
TIME:10:00am~6:00pm
※金曜は8:00pmまで
※入館は閉館の 30 分前まで
PLACE:東京ステーションギャラリー
ADDRESS:東京都千代田区丸の内1-9-1(JR東京駅 丸の内北口 改札前)
ADMISSION:一般 ¥1,300、高校・大学生 ¥1,100
※中学生以下無料
WEBSITE:www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/202402_yasui.html

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