Ahn Jun

Top Photo:「Self-Portrait」より
Top Photo:「One Life」シリーズより

Ahn Jun

重力が示唆する人間と生

ニューヨークとソウルを中心に活躍する写真家 Ahn Junの個展「アンジュン『重力へ』方向と座標」が、入江泰吉記念奈良市写真美術館にて6月30日(日)まで開催中。


2006年に南カリフォルニア大学を卒業後、パーソンズ美術大学で修士課程を修了、弘益大学校大学院で博士号を取得したAhn Jun。

日本の美術館での初個展となる今展は、2018年に異なる出版社から作家初の写真集として同時刊行された「Self-Portrait」と「One Life」の作品を中心に約70点で構成されている。

「Self-Portrait」より

赤々舎から出版された「Self-Portrait」は、2008年から2013年の5年間にわたってソウルやニューヨーク、香港の都心などで撮影したセルフポートレートシリーズ。

高層ビルの屋上や先端から下を見下ろす姿は圧倒的な緊張感と浮遊感に満ちており、屋上にいることは、変えられない「過去」と、遠くに感じられる都市の風景「未来」の間にある虚空を視覚化し、一瞬の割れ目として「現在」が写しとられている。

Case Publishingから出版された「One Life」は、2013年から2018年にかけて、ソウルを皮切りに日本やトルコ、アラブ首長国連邦やイギリス、アイルランドなど世界各地で撮影した88点の作品を収録したもの。

Junの家族が投げたりんごが空中にある瞬間をハイスピードシャッターで捉え、祖父の死を境に芽生えた死生観のメタファーを写真という形で提示している。

オープニングで開かれたトークイベントでJunは、タイトルにある重力とは「生きていく」という意味を持っており、方向と座標は自身が考えていることに当たると説明。
また写真というものはすべて通り過ぎていく現在の記録であり、過去と未来の間に存在するものだと考えているという。

「One Life」シリーズより

文脈から切り離され、露わになる超越性。
写真から感じとれる重力が、人間の存在と生を指し示す。



IRIE TAIKICHI MEMORIAL NARA CITY MUSEUM OF PHOTOGRAPHY
naracmp.jp/official



【On Gravity: Directions and Coordinates Ahn Jun】
DATE:6月30日(日)まで開催中
※月曜休館
※祝日の場合は翌平日休館
TIME:9:30am~5:00pm
※最終日は4:00pmまで
※入館は4:30pmまで
PLACE:入江泰吉記念奈良市写真美術館
ADDRESS:奈良県奈良市高畑町600-1
ADMISSION:一般 ¥500、学生 ¥200
WEBSITE:naracmp.jp/QgZ_oVyS/FmlLmULP

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