1968年、オランダ・フォルケルに生まれたMark Mandersは、1988年から1992年にかけてアーネム市芸術大学にてデザインを学ぶ。
1986年に「Self-Portrait as a Building（建物としての自画像）」と称したプロジェクトを開始し、以後、ライフワークとしてインスタレーションをはじめとした制作を続けている。

「建物としての自画像」は、自身が「Mark Manders」と名づけた架空の芸術家の自画像を、建物を通して表現するという彼独自のコンセプト。

Mandersは時代や様式を超えて普遍的な美しさを醸し出す彫刻や、実物よりわずかに縮小された家具などを、「想像上の」部屋に緻密に練られた配置図に基づいて配置する。
それらを介して、作家自身の抽象的で個人的な思考や感情は、空間の中で視覚化される。

新作を含む9点を公開する本展では、ギャラリーの空間を半透明の薄いビニールで囲うことでアーティストのスタジオに一変させる。

中央には「Bonewhite Clay Head with Two Ropes」（2018 - 2024）が配され、作業台の上にロープで留められた、乾燥してひび割れたかのような彫刻が今にも崩れそうな緊張感を与える。

観る者に作業の途中であるかのような印象をもたらし、静かなスタジオに作家がそれまでその場にいたかのような、あるいは長い間放置されたかのように感じさせる作品群は、まさに瞬間が凍結したかのようなイメージを抱かせる。

彼の作品に見られる青い色彩は、その色合いや深さによって海や風景、そして異なる時間の空を表す。
また今回いくつかの作品に使用された「Bonewhite」は灰色に近い白で、より一層作品に儚さを与えている。

静謐で繊細な、肖像としての詩的な空間。
綿密に配された作品群が操る、時間の感覚を味わって。



GALLERY KOYANAGI
03-3561-1896



【Mark Manders “Silent Studio”】
DATE：3月8日（土）まで開催中
※日曜、月曜、祝日休廊
TIME：12:00pm～7:00pm
PLACE：ギャラリー小柳
ADDRESS：東京都中央区銀座1-7-5 小柳ビル9階
ADMISSION FREE
WEBSITE：www.gallerykoyanagi.com/jp/exhibitions-1/