Elijah Gowin

Top Photo:©Elijah Gowin, courtesy of PGI

Elijah Gowin

儚い蛍の光に託す、環境変化と世界への想い

アメリカで活動するフォトグラファー Elijah Gowinの展示「The Last Firefly」が、PGIにて7月20日(土)まで開催中。

©Elijah Gowin, courtesy of PGI
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オハイオ州・デイトンに生まれ、1994年から写真家として活動しているElijah Gowin。

牧師の祖父と写真家の父を持ち、母の実家であるヴァージニア州の古い農家に育った彼は、幼年期に培った感性で、信仰や儀式、風景、記憶をモチーフに、撮影することによって自らの原点を探り出してきた。

モノクロームの情感豊かなデビュー作「Hymnal of Dreams」を発表して以来、サイアノタイプやフォトグラム、ピグメントプリントなど、それぞれのシリーズに適した手法を選びながら、世界の複雑さに向き合い、写真で表現している。

©Elijah Gowin, courtesy of PGI

また大学で教鞭をとりながら、2008年には自らの出版社 Tin Roof Pressを設立。
写真集やZINEを出版するだけでなく、図書館と独立系の出版社を繋げてサポートを行うなど、精力的に活動を展開する。

近年は、幼年期の物語から今という時代に目線を転換し、環境や社会の変化、それらがもたらす問題提起に関心を寄せる。

©Elijah Gowin, courtesy of PGI
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本作「The Last Firefly」は、Gowinの娘たちが捕まえてきた蛍の光で気まぐれに作ったフォトグラムがきっかけになった作品。

最初の1年はいくつかのフォトグラムを制作し、蛍の軌跡は
「最初は抽象的だったが、次第にメッセージを発する暗号のような形が浮かび上がってきた。
(中略)ほとんどは漆黒の宇宙に浮かぶ星のようになり、無限に大きかった」という。

©Elijah Gowin, courtesy of PGI
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その後さまざまな調査を経て、蛍の個体数減少に影響を与えている生態系や環境の変化を学び、アメリカだけでなくアジアまで足を伸ばして撮影するように。
経済的な変化がもたらす風景の変化を目の当たりにした彼は、自然とテクノロジー、そしてわれわれが同時に生きるこの世界が込み入った相関関係の上にあることを表現したいと考え、社会的なランドスケープと蛍という2つの風景によって作品を構成した。

本展では、アーカイバルピグメントプリント約32点が展示される。

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ささやかで儚くも、国境を超える蛍の光。
複雑な相関性の上に成り立つ私たちの世界に向けられた、アーティストの想いを受け取って。



PGI
03-5114-7935



【Elijah Gowin “The Last Firefly”】
DATE:7月20日(土)まで開催中
※日曜、祝日休館
TIME:11:00am~6:00pm
PLACE:PGI
ADDRESS:東京都港区東麻布2-3-4 TKBビル3階
ADMISSION FREE
WEBSITE:www.pgi.ac/exhibitions/9812

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