Osamu Yokonami
ありふれた東川町の風景の変容を捉えた作品集
写真家 横浪修の作品集「Small Town - 東川町」が、ストックホルムを拠点とする出版社 Librarymanより発売中。
リズミカルな繰り返しや連続性を通して、アイデンティティーや文化的同質性を探る横浪修。
自身の作品制作を行いながらファッション誌や広告の分野を筆頭に幅広い活躍を見せ、CDジャケットやムービー、ドローン撮影なども手がけている。
今作は、北海道上川郡東川町に位置する農場を舞台に、写真という媒体を使って作者独自の手法や表現を用いて制作されたシリーズ。
横浪は被写体に対しストレートにカメラを向け、ごく普通の見慣れた農具や身体、現地の農産物を、印象に強く残る風景へと変容させている。
首なし風の人間、茄子の仮面で覆った顔、米袋の上に置かれたままの赤ちゃん、バランスを取りながら背中に大きなトマト2つを乗せ草むらにひざまずく上半身裸の人物など、予想もしていなかったような可笑しさや親しみを感じさせる作品群。
それらは「この作品の中で一体誰が誰を演じているのか」という疑問を立ち上げながら、撮り手である横浪と撮影された人々との間の共犯的な瞬間の存在を示唆している。