穴やスリットを入れて光を透した写真作品を制作し、そこに被写体と鑑賞者が響き合い、新たな想像が生まれる空白を見出し続ける澄毅。

1981年京都府生まれの彼は、デザイナー本人の購入によって作品が「AGNÈS B.」コレクションに加えられたのをきっかけに2013年から2020年までパリに在住し、帰国後は京都を拠点に活動を行っている。

今展では特徴的なスリット作品に加え、写真に糸を施した作品によって造形が「生まれ出る」世界を構築。
それぞれの作品は写真という複製可能なメディアでありながら1点ずつしか存在せず、「切る」という削ぎ落とす行為と「糸を加える」という足し算の一見相反する行為が共存するユニークな展示となった。

子どもの頃から目に映る世界の虚構について考えを巡らせてきた澄は、制作において指が感じるものを信用したと言い、「私は見える世界に生きている。しかし世界はその先にも在る。その先に指を伸ばし捉えたい。その願望が私の作品の根底にはあります」と語っている。


制作プロセスと不可分の、研ぎ澄まされた身体感覚。
写真に広がる糸が導く、網膜の先の世界を見つけて。



(HIDE) GALLERY TOKYO
hide-tokyo.com



【Takeshi Sumi “Photographs, lost and born.”】
DATE：7月23日（日）まで開催中
※火曜、水曜定休
TIME：12:00pm～6:00pm
PLACE：(hIDE) GALLERY TOKYO
ADDRESS：東京都目黒区自由が丘1-3-22 自由が丘アッシュ103
ADMISSION FREE
WEBSITE：hide-tokyo.com/exhibition/sumi/