SEEEU 2025

Top Photo:Varvara Uhlik 《Sunshine, How Are You?》2023-2024
Top Photo:Tadao Cern 《Comfort Zone》2013

SEEEU 2025

アートと公共空間の境界が溶け合う1ヶ月間

Lula Japan がメディアパートナーを務める、日本初のヨーロッパ写真月間「SEEEU ヨーロッパ写真月間 2025」が、11月23日(日・祝)まで、東京都港区・周辺エリアなどにて開催中。

KOI NIPPON/KOIが、公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京および欧州連合(EU)の支援を受けて今年からスタートする「SEEEUヨーロッパ写真月間」。

東京の街路や工事現場の仮囲いなど、普段は素通りされる都市風景を舞台に1ヶ月間にわたって写真群が立ち現れる。

Anna Tihanyi 《Budapest A-Z, Bubble》2022
Taiyo Onorato & Nico Krebs 《Water Column, S1》2022

テーマは 「Reframing Realities(現実の新たな輪郭)」。
「現実」とは何か、そしてその輪郭は誰の手によって、どのように再び描かれるのかという問いに対し、ヨーロッパ各国の写真家たちは、自身の作品を通して答えを提示する。

武力衝突、移民、気候変動といった社会の断層やデジタルによって加工され続けるイメージ、そして個人の記憶や身体の痕跡。
現代の揺らぎに呼応しながら、写真は記録であることを越え、想像と詩情をまとい、新しい現実を編み直す。

Claudia Fuggetti 《Metamorphosis》2024
Claudia Fuggetti 《Metamorphosis》2024

キュレーターはアート写真雑誌 IMA創刊者の太田睦子と、オランダ・アムステルダムを拠点にアーティスト兼キュレーターとして活躍するKim Boskeが担当。

スイスのTaiyo Onorato & Nico Krebsは、海洋科学者との協働から生まれた「Water Column」で、深海の幻想を東京に再現。
科学と想像力の交差点で立ち上がるその光景は、現実と虚構の境界の脆さを照らし出す。

イタリアのClaudia Fuggettiは「Metamorphosis」を通じ、自然と人工が交差する瞬間を描き、鑑賞者に自然を能動的な存在として見直すよう促す。
色彩と層を重ねたそのイメージは、美と喪失、儚さの気配を漂わせる。

Francisco Gonzalez Camacho 《Reverting, Oasis》2024
Francisco Gonzalez Camacho 《Reverting, Svartur》2024
Tamara Janes 《Copyright Swap #2》2023 NYPL Picture Collection Folder HAIR Original by Joel Meyerowitz

スペイン出身でフィンランドを拠点とするFrancisco Gonzalez Camachoは「Reverting」で観光と環境の矛盾を告発し、アイスランドの風景に人間の介入が残す影を示唆。

スイスのTamara Janesは「Copyright Swap」を通じて著作権と創造の境界を揺さぶり、アーカイブ画像を再編集しながら「他者の写真が自らの創作に変わる瞬間」とは何かを問いかける。

Tadao Cern 《Comfort Zone》2013
Igor Schiller 《Familiar Characters, Three Butterflies》2020-2023

リトアニアTadao Cernは、ヨーロッパのビーチを舞台にした「Comfort Zone」で、公共とプライベートの曖昧な境界を浮かび上がらせる。

セルビア出身のIgor Schillerは「Familiar Characters」で、自らの子ども時代の記憶を辿りながら、忘れられた魔法を呼び戻そうとする。
夢と現実を重ねるように構成された作品は、個人的な記憶を超えて、人間存在の核心に触れる。

ウクライナのVarvara Uhlikは「Sunshine, How Are You?」で世代間のトラウマを紡ぎ直し、ポスト・ソビエトの影と個人の記憶を重ね合わせる。
その他、多くの作家たちの作品がイベントをより深く、広く彩っていく。

Varvara Uhlik 《Sunshine, How Are You?》2023-2024
Varvara Uhlik 《Sunshine, How Are You?》2023-2024

写真の力を通じて都市に新しい光を投げかける祭典である「SEEEU 2025」。
その1ヶ月は、東京を舞台に現実を問い直し、視覚の喜びを再発見するための光景へと結実する。



SEEEU
www.seeeu.jp/



【SEEEU EUROPE PHOTO MONTH TOKYO 2025】
DATE:10月23日(木)~11月23日(日・祝)
PLACE:東京都内各所
ADMISSION FREE
WEBSITE:www.seeeu.jp/
※その他詳細はSEEEUのウェブサイトをご確認ください。

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