HEAR HERE
三者の表現が構築する、今だけの空間
音楽家・アーティスト 蓮沼執太、画家 楊博、造形作家 小林七生によるグループ展「HEAR HERE」が、Yutaka Kikutake Gallery Kyobashiにて7月12日(土)まで開催中。
蓮沼執太が音楽の「制度」や「境界」を抽象化した映像や写真、インスタレーションを中心に、楊博が音というモチーフや曖昧な領域をキーワードに制作した絵画を展示する本展。
音楽家・アーティストとして活動する蓮沼は、視覚芸術分野における作品制作や展示を通じて、音楽という制度に揺さぶりをかける多彩な実践を展開してきた。
本展では、音楽的メディアを解体して再構築するシリーズ「Re-model」(2016)や、彼が日常的に取り組むフィールド・レコーディングによって採取した環境音と位置情報をGoogleでイメージ検索し、選んだ画像を添付して複数名にメールで送信するプロジェクト「Change」(2013~)を展示する。
また、日本およびケニアでの日常を撮影し編集したおよそ10分の映像作品「World in our hand」(2013)は、連続する短いカット中に映る指でサークルを作る様子が音楽の内と外を形成する架空の「境界」を想起させる。
1991年中国湖北省に生まれ、2001年に家族と共に日本に移住した楊博は、ポップカルチャーとその受容をめぐる距離感をテーマに制作を続ける画家。
60s、70sのミュージシャンが歌う歌詞から引用された言葉と、道端や川べり、室内などの日常的な風景を共に描く独特な構成の作品を特徴としている。
本展では、飛び立つ前の飛行機から見える飛行場の眺めを描いた作品を中心に、数点の新作を展示。
緑と赤といった色相環の距離が離れた2色を多用する楊の絵画では、2つの補色関係が混ざった時に生まれる濁ったグレーが頻出し、その曖昧な領域が醸し出す不穏さが強調される。
「不明瞭な『あいだ』という空間を作ることを試みている」という蓮沼の取り組みが、曖昧な領域を往来する楊の絵画と共鳴し合う会場には、刹那的な展示空間が立ち現れている。
また会期中には、蓮沼とFATHER名義で音楽活動をしている造形作家 小林七生による、1日限りのパフォーマンスも開催。
「刺繍」をベースに、時空間の圧縮を連想させるような造形制作に挑む。
それぞれの視点で見つめる、「あいだ」の領域。
3人の異なる実践が、今限りの空間を作り出す。
YUTAKA KIKUTAKE GALLERY KYOBASHI
03 6447 0500
【HEAR HERE】
DATE:7月12日(土)まで開催中
※日曜、月曜、祝日休廊
TIME:11:00am~7:00pm
PLACE:Yutaka Kikutake Gallery Kyobashi
ADDRESS:東京都中央区京橋1-7-1
ADMISSION FREE
WEBSITE:www.yutakakikutakegallery.com/ja/exhibitions/hear-here
※パフォーマンスの日時は未定