ECHOES UNVEILED

Top Photo:マリィ・クラーク《私を見つけましたね:目に見えないものが見える時》(部分)2023年、顕微鏡写真・アセテート、
作家蔵(ヴィヴィアン・アンダーソン・ギャラリー) Installation view of Between Waves, Australian Centre for Contemporary Art, Melbourne.
Photo; courtesy Andrew Curtis © Maree Clarke

Top Photo:イワニ・スケース《えぐられた大地》2017年、ウランガラス(宙吹き)、石橋財団アーティゾン美術館
© Courtesy the Artist and THIS IS NO FANTASY

ECHOES UNVEILED

現代美術を牽引するアボリジナル女性作家たち

オーストラリア先住民 アボリジナルの女性作家たちの展覧会「彼女たちのアボリジナル・アート オーストラリア現代美術」が、アーティゾン美術館にて9月21日(日)まで開催中。

イワニ・スケース《えぐられた大地》2017年、ウランガラス(宙吹き)、石橋財団アーティゾン美術館 © Courtesy the Artist and THIS IS NO FANTASY
イワニ・スケース《えぐられた大地》2017年、ウランガラス(宙吹き)、石橋財団アーティゾン美術館 © Courtesy the Artist and THIS IS NO FANTASY

独自の文化を持つオーストラリア大陸の先住民 アボリジナル。
彼ら・彼女らのアートは、地域独自の文脈で生まれた作品への再考が進む国際的な現代美術の動向とも呼応し、近年、改めて注目を集めている。
2024年には第60回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展にて、アボリジナル作家の個展を展示したオーストラリア館が国別参加部門の金獅子賞を受賞した。

また、オーストラリア現代美術界ではアボリジナル女性作家が数多く活躍し、国際的にも高評価を獲得。
同国で著名な女性作家のうち、多くがアボリジナルを出自の背景とする。

ジャンピ・デザート・ウィーヴァーズ《タンギ(ロバ)》2021年、映像、ジャンピ・デザート・ウィーヴァーズ、NPY ウィメンズ・カウンシル © Tjanpi Desert Weavers, NPY Women’s Council
ジャンピ・デザート・ウィーヴァーズ《私の犬、ブルーイーとビッグ・ボーイ》2018年、映像、ジャンピ・デザート・ウィーヴァーズ、NPY ウィメンズ・カウンシル Image by Jonathan Daw. © Tjanpi Desert Weavers, NPY Women’s Council
ジュリー・ゴフ《1840年以前に非アボリジナルと生活していたタスマニア出身のアボリジナルの子どもたち》2008年、木製椅子・焼けたティーツリーの枝、オーストラリア国立美術館、 キャンベラ © Julie Gough
ジュリー・ゴフ《ダーク・バレー、ヴァン・ディーメンズ・ランド》2008年、フィンガル・バレー(タスマニア)産石炭、ナイロン、北ミッドランド(タスマニア)の落角、タスマニアン・ オーク、ニューサウスウェールズ州立美術館 © Julie Gough Image © Art Gallery of New South Wales

現代アボリジナル・アートの特徴である制作手法や作品のテーマ、そして用いられる素材の多様性など、その豊かな表現力の拡大に大きく貢献してきた彼女たち。

バティック、ジュエリー、編み物、土地神話物語(ドリーミング)を含まない事象的な主題など、それまで芸術作品として受け容れられていなかった創作を芸術表現として昇華させてきた。

本展は、複数のアボリジナル女性作家に焦点を当てる日本初の試み。
多様な地域を拠点とする7名と1組による計52点の出品作品から、アボリジナル・アートに脈々と流れる伝統文化の息遣いを探求していく。
同時に、イギリスによる植民地時代を経たオーストラリアがどのように脱植民地化を実践し、そしてそれがいかにして複層的で多面的な現代のアボリジナル・アートの創造性と交差するのかについて考察する。

マリィ・クラーク《ポッサムスキン・クローク》2020-21年、ポッサムの毛皮、ヴィクトリア州立美術館 © Maree Clarke
マリィ・クラーク《私を見つけましたね:目に見えないものが見える時》(部分)2023年、顕微鏡写真・アセテート、作家蔵(ヴィヴィアン・アンダーソン・ギャラリー) Installation view of Between Waves, Australian Centre for Contemporary Art, Melbourne. Photo; courtesy Andrew Curtis © Maree Clarke

1961年に生まれ、80sにジュエリー制作からキャリアをスタートさせたMaree Clarkeは、植民地時代に失われた地域の伝統文化の復興に創作を通して積極的に参加。
レンチキュラー・プリントや、3D写真、ホログラムなどの写真技術を用いたマルチメディア・インスタレーションの制作から彫刻や立体作品など、幅広い表現方法を用いることで知られる。

カイアディルトと呼ばれる先住民コミュニティ出身のアーティスト Mirdidingkingathi Juwarnda Sally Gaboriは、80歳を超えた2005年から絵画制作を始め、2015年に逝去するまで約2,000点に及ぶ作品を制作。
2016年から翌年にかけては、クイーンズランド州立美術館とヴィクトリア国立美術館にて個展が開催され、高い評価を得た。

ノンギルンガ・マラウィリ《バラジャラ(ジャラクピに隣接するマダルパ氏族の土地)》2019年、天然顔料、再利用されたプリンター用インク・ユーカリの樹皮、ケリー・ストークス・コレクション © the artist ℅ Buku-Larrŋgay Mulka Centre
ノンギルンガ・マラウィリ《バラジャラ》2018年、天然顔料、再利用されたプリンター用インク・樹皮、ケリー・ストークス・コレクション © the artist ℅ Buku-Larrŋgay Mulka Centre

他にも2008年に日本で回顧展が開催されたEmily Kame Kngwarreyeや、出身コミュニティにおける伝統技法を自身の感性で革新したNoŋgirrŋa MARAWILI (Nonggirnga MARAWILI)など、注目のアーティストたちが登場。

興隆した70sから80sは男性が制作の中心であった現代アボリジナル・アート界で立場を逆転した彼女たちを通して、オーストラリア現代美術の現在地を探る。

ジュディ・ワトソン《赤潮》1997年、顔料、パステル・カンヴァス、ニューサウスウェールズ州立美術館 © Judy Watson / Copyright Agency, Image © Art Gallery of New South Wales
ジュディ・ワトソン《記憶の深淵》2023年、天然藍、鉛筆、合成ポリマー絵具・麻布、作家蔵(ミラニ・ギャラリー) © Courtesy the Artist and Milani Gallery, Brisbane, Meeanjin, Australia. Photography by Carl Warner.

国際的にも存在感を強めるアボリジナル女性作家たち。
多岐にわたる作品群が宿す、集合的記憶と個の創造力を見つめて。



HELLO DIAL
050-5541-8600



【ECHOES UNVEILED Art by First Nations Woman from Australia】
DATE:9月21日(日)まで開催中
※月曜、7月22日(火)、8月12日(火)、9月16日(火)休館
※ただし7月21日(月・祝)、8月11日(月・祝)、9月15日(月・祝)は開館
TIME:10:00am~6:00pm
※金曜は8:00pmまで
※入館は閉館の30分前まで
PLACE:アーティゾン美術館  6・5 階展示室
ADDRESS:東京都中央区京橋1-7-2
ADMISSION:一般 ¥1,800(ウェブ予約チケット)/¥2,000(窓口販売チケット)
※予約枠に空きがあれば、美術館窓口でもチケットをご購入いただけます。
※大学生、専門学生、高校生無料(要ウェブ予約)
※中学生以下無料(予約不要)
※こちらの料金で同時開催の展覧会をすべてご覧いただけます。
同時開催:石橋財団コレクション選 コレクション・ハイライト
※チケットの詳細は展覧会および美術館のウェブサイトをご確認ください。
WEBSITE:www.artizon.museum/exhibition_sp/echoes_unveiled/

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