Naoko Kumagai

Naoko Kumagai

悲しみを掬う穏やかな眼差し

写真家 熊谷直子の第2作品集「レテに浮かんで」が発売中。
またこれを記念した写真展が、book obscuraにて9月23日(月・振休)まで開催されている。

1976年に生まれた熊谷直子は、幼少期より写真を撮り始め、20歳でパリにわたって写真や芸術を学ぶ。
ドキュメンタリー性のある作風を生かしたポートレートを得意とし、現在は雑誌、ウェブサイトなどさまざまなメディアで活動している。

また、作家として2017年に「赤い河」を刊行する他、俳優 二階堂ふみの写真集「月刊二階堂ふみ」や俳優 杉咲花の写真集「ユートピア」、俳優やモデルとして活動する山本舞香のフォト&スタイルブック「Bailar」など、人物に焦点を当てた写真集も多く発表してきた。

初の作品集「赤い河」は、東日本大震災の後に出会った宮城県気仙沼の人々と、認知症を患い施設に暮らす母親の姿に、自身の「今」へと流れ込む1つの河の流れを見出したもの。

それから7年を経て、コロナ禍を挟む期間に母親がこの世を去り、生家が更地になり、友との別れも経験するなど、これまで立脚してきた「関係」そのものが失われ形を変えていく中で、「忘れたくないから写真を撮っていると思っていた」という熊谷も少しずつ変わっていったという。

新作写真集「レテに浮かんで」は、喪失と忘却、それでも続く生と死に対する眼差しの変容の過程を記録した1冊。
喪失の後で、彼女の目は世界をどのように捉えたのか。本作は「そこに何が写っているか」を超えた「固有の目」の置きどころにこそ、写真という表現の本質が存在するのだと伝える。

また同タイトルを冠した写真展では、失い忘れていくこと、それでも生きるということに向き合った熊谷の新たな視点を通し、写真があるからこそ感じ取れる世界を垣間見せる。
9月14日(土)には、熊谷と出版社 TISSUE Inc.の安東嵩史、book obscuraの店主 黒崎由衣によるトークイベントが行われ、最新刊の制作秘話や写真について深掘りする。

さらに9月23日(月・振休)には、クロージングパーティの開催も予定している。

喪失の先にある希望を見据えた作品集。
生と死を見つめる作家の眼差しが、悲しみが残る日々を温かく穏やかに包み込む。



BOOK OBSCURA
0422-26-9707



【Naoko Kumagai Photo Exhibition “レテに浮かんで”】
DATE:9月23日(月・振休)まで開催中
※火曜、水曜定休
TIME:12:00pm~7:00pm
PLACE:book obscura
ADDRESS:東京都三鷹市井の頭4-21-5 #103
ADMISSION FREE
WEBSITE:bookobscura.com/news/669f91744c7baf04557d5814

【Naoko Kumagai & Takafumi Ando & Yui Kurosaki Special Talk Event “レテに浮かんで”】
DATE:9月14日(土)
TIME:7:30pm~9:00pm
PLACE:book obscura/同店YouTubeチャンネル
ADMISSION FREE
※店頭観覧は要予約
WEBSITE:bookobscura.com/news/669f91744c7baf04557d5814

【Closing Party “レテに浮かんで”】
DATE:9月23日(月・振休)
TIME:6:00pm~8:00pm
PLACE:book obscura
ADMISSION FREE
WEBSITE:bookobscura.com/news/669f91744c7baf04557d5814

【“レテに浮かんで” by Naoko Kumagai】
PRICE:¥8,800
AVAILABLE TO BUY FROM:bookobscura.com/items/66ab2c62e37c5b0037c401b2

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