Ishiuchi Miyako
時の経過を受け止める薔薇の花々
写真家 石内都の新刊写真集「Naked Rose」が、SUPER LABOより発売。
さらにこれを記念した展覧会が、SUPER LABO STORE TOKYOにて7月9日(日)まで開催中。
1979年、写真集「Apartment」で第4回木村伊兵衛写真賞を受賞した石内都は、2005年に母親の遺品を撮影した「Mother’s」で、第51回ヴェネチア・ビエンナーレ日本館代表作家に選出。
その後、2013年に紫綬褒章受章、さらに翌年には「写真界のノーベル賞」と呼ばれるハッセルブラッド国際写真賞を受賞した。
作品は東京国立近代美術館や東京都写真美術館、ニューヨーク近代美術館、テート・モダンなどに収蔵され、日本を代表する写真家として国際的な評価を獲得している。
今作は、当初薔薇の香水の研究書に添える目的で撮り進められていた写真が、いつしか作品として自立していったもの。
石内は大好きだった薔薇に飽きを感じ、買って飾り見ることもなくなって久しい頃、制作の依頼を受けて薔薇を撮り始めた。
薔薇の花は朝日と共に蕾が開き、その瞬間に放たれる芳醇な香りは、時間が経過するにつれて薄れてしまう。
そして次の芽吹きのために潔く切られ捨てられるという一連のプロセスは、植物ならではの物語として繊細な魅力を放ち、作品にはそうした時間の経過を受け止める身体としての薔薇が写されている。
さらに写真集の刊行を記念して、SUPER LABO STORE TOKYOにて展覧会が7月9日(日)まで開催中。