Yoshiyuki Okuyama
不透明な窓に映る東京の人々の表情
東京生まれの写真家兼映像監督 奥山由之の新作写真集「windows」が、6月上旬に赤々舎より発売される。
常に写真や映像表現の新たな可能性を追求し、幅広い世代から圧倒的な支持を集める奥山由之。
これまでに第34回写真新世紀優秀賞、第47回講談社出版文化賞写真賞を受賞した他、2021年に刊行した前作「flowers」が大きな注目を集めVogueに掲載されるなど、国際的な評価も獲得している。
今作は、コロナ禍にあった2020年4月から2022年11月までの2年半に約10万枚の不透明なガラス窓を撮影したシリーズ。
東京の街を歩きながら、屋内にあるさまざまな日用品が透けて見える窓の表情に目を留めた奥山は、キッチンや浴室の水周り、フィギュア、花、洗濯物などの内部空間が窓枠に沿ってトリミングされた、抽象的な模様を捉えていった。
外部の影や映り込みも宿しながら、そこに暮らす誰かの存在を想像させるそれらは、不特定多数の人々のポートレートとなって足元の社会を映し出す。