【SPECIAL】Book List 03|suzu-iro
Lula Japan最新号をさらに楽しむために読みたい3冊
Lula Japan Issue 21の世界を深掘りできる書籍を紹介する特別企画。
感性を目覚めさせ、思考を増幅させてくれる、とっておきの本たち。
ページを繰る先には、さらなる無数の出合いが待っている。
第3回は、今号のテーマ「錫色」に着目した3選。
孤高のニュートラルカラーで覆われた、写真、コラージュ、マテリアル…。
それぞれの「錫色」に宿る、鈍く柔らかな輝きに誘われて。
Book 01|Clandestine Pursuit in the Long Afternoon
静謐な写真に時の流れを捉える、韓国の代表的な写真家 Koo Bohnchang。
彼が1985年から1990年にかけて、激動の時代の韓国をモノクロームのフィルムで写し取った作品をまとめた「長い午後に 無数の僕を追い求めて」は、撮影から約30年を経た2019年に書籍化された。
6年間のドイツへの留学から帰国したKooは、1988年のソウルオリンピックに向けて大きな変革の局面を迎えた韓国社会を目の当たりにする。
「際限なくあふれる車と人間の洪水、騒音
網膜に現れては消えるイメージの渦
建築ラッシュ、愛国心、虚飾そして虚栄」
混沌の中で日々変化していく故郷になじみづらさを感じつつ、ソウルの街を彷徨し部外者の視線で切り取った作品群には、当時のBohnchangの心境が刻み込まれている。
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Book 02|cheveux longs… cheveux courts
ベルギーのコラージュアーティスト Katrien De Blauwerが、2019年にアントワープのGALLERY FIFTY ONEで開催した同名の展覧会に伴い刊行された「cheveux longs… cheveux courts」。
自身を「カメラを持たない写真家」と呼ぶ彼女は、アントワープ王立芸術アカデミーでファッションを学んでいた際に制作していたコラージュブックをきっかけに、20sから60sの雑誌や新聞の断片を再構成して作品を制作し続けてきた。
元の文脈から切り離されたそれらのイメージは、アノニマスで普遍的なものとなりながら、De Blauwerの個人的な物語の中に組み込まれることで新たな意味を帯びる。
本作の各章にはフランスのミューズたちの名前から引用したタイトルが冠されており、彼女たちはそれぞれが匿名の女性として、あるいはDe Blauwer自身として、繊細で親密な作品世界を生きている。
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Book 03|Requiem for the Sun: The Art of Mono-ha
2012年にBLUM & POE Los Angelesで開催された「Requiem for the Sun: The Art of Mono-ha」の展覧会カタログ。
60s末から70s前半にかけて現れた美術動向「もの派」は、ガラス、石、鉄板、木、綿、電球、針金、和紙など、自然素材や人工物をほとんど加工せずに用いた作品によって、既存の概念を切り離した「もの」との間の新しい関係性を探った。
本書は、際立った存在感を示した関根伸夫、Lee Ufan、菅木志雄、小清水漸、成田克彦らの作品の図版や展示風景、エッセイを通じて「もの派」を包括的に紹介し、再検証していく。
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