1837年にThierry Hermèsがパリに開いた小さな馬具工房から始まった「HERMÈS」は、創業当初から馬が生来持つ美しさに光を当て、洗練されていると同時に頑丈さも兼ね備えた高品質な馬具を提供し、国内外で高い評価を受けていた。

3代目のÉmile Hermèsは時代の変革に伴うライフスタイルの多様化に応じ、馬具から皮革製品の他、20sにはゴルフウェアやジュエリー、時計を発売。1937年には初のシルクスカーフ「Carré」を制作した。また彼は生涯を通じて多くの美術品や書籍、オブジェなどを熱心に収集したことでも知られ、これらが後にメゾンにとって大切なインスピレーションの源となる。

続く4代目のRobert Dumasは、1967年にウィメンズのプレタポルテコレクションを発表した。

1984年には今もなお高い人気を誇るバッグ「Birkin」が誕生し、2008年にはメゾンが築き上げた手仕事による価値やサヴォワールフェールを生かし「エルメス財団」が設立。

そして、2020年に16番目のメチエ（部門）としてビューティコレクションがローンチした。
5年の歳月をかけてデザインの構想と研究開発がなされ扉を開いた新たなものづくりの世界は、「美しさ、それはしぐさ」を信念にその人の本質そのものを引き立てることにアプローチ。

生きるものすべてに慈しみと敬愛を惜しまないThierryの哲学を受け継ぎ、「美しさは健やかで喜びに満ちた心身から自然と湧き出るもの」というシンプルな考え方を起点に、女性の何気ない所作や佇まいをそっと彩るアイテムが揃う。


ビューティ部門のクリエイションを語る上で欠かせない要素の1つが色彩である。
パリの工房には75,000色を超える独自のカラーサンプルが保存され、レザーやシルクから着想を得た繊細な色のニュアンスを表現。また「肌は崇高な素材の1つ」というポリシーのもと、素肌と色彩との邂逅から芽吹く、新たな個性を祝福する。

もう1つは、「HERMÈS」のシューズ/ジュエリー部門のクリエイティブ・ディレクターであるPierre Hardyが手がけるアートピースのような趣のパッケージ。
毎日持ち歩くパートナーとして耐久性に優れながら、まるでジュエリーを身につける瞬間のように特別な高揚感を演出する。いわば「用の美」を体現するデザインが完成した。

また環境に配慮したものづくりを重視し、リップスティックとチークはレフィル式を採用しており、ブティックで詰め替えが可能。象徴的なオレンジのボックスと白のリサイクルペーパーの外箱がオブジェを優しく包み込む。


時代を超えて継承されてきたクラフツマンシップと、色彩のエスプリ。
日々の生活に根ざした美を形にするアルチザン（職人）として、高く新しい文化的視座を世界に提示している。

「HERMÈS」のビューティ部門の幕開けとなる第1章を飾ったリップスティックコレクション「Rouge Hermès」は、メゾンが歴史を紡いできたパリのブティックの番地にちなんで24色がラインナップ。

そのうち10色はマットな仕上がりで、先端が鋭利にカットされているため正確なリップラインを引くことができ、サテンの質感の14色は、丸みを帯びたラウンド型の先端がリッチな色づきを叶える。

気まぐれやユーモア、飾らない美しさ、そして強い意思を内包した真っすぐな筆跡を口元に宿して。

続く第2章として発表された「Rose Hermès」は、頰を幸福感で包むチークコレクション。
水彩のように繊細な8色のローズカラーが、生き生きとした表情を後押しする。

中でもアジア限定シェードの「#37 Rose Poivré」は慎ましくも鮮やかな色調で、柔らかくエレガントな印象に導く。

シルクのようになめらかできめ細かなパウダーはファンデーションとのなじみも良く、ヘルシーな輝きから骨格を強調したメイクアップまで、気持ちの赴くままにブラシを走らせて。

第3章「Les Mains Hermès」は、手仕事を尊ぶ「HERMÈS」ならではの手のケアと美にまつわるコレクション。ハンドクリームやネイルケアオイル、トップ・ベースコート、ネイルカラーなどが登場し、アイテムを自由に組み合わせて指先に表現力と知性を与える。

全24色のネイルカラーは、メゾンが得意とするエナメル加工の技術と知識を取り入れ、光沢のあるピュアな発色を可能にした。

素材から色彩、色彩からしぐさへと繋がる「HERMÈS」の有機的な世界に触れ、喜びに満ちた暮らしの中で心の美を高めて。

HERMÈS JAPON
03-3569-3300


WEBSITE：
www.hermes.com