「現実の出来事に対する視点を記録する」という写真の本質を突き詰め、コンピューターによる合成加工などに頼ることなく、グラフィカルな世界を表現、建築する小見山峻。
ストリートを映し出すことを出発点に、これまで自身の周囲におけるリアリティを独自の視点で切り取ってきた。

そこにはかつての東松照明や植田正治、森山大道らが空気やダイナミズムを切り取ったように、一貫して自らを取り巻く世界に存在する真実やその痕跡が、在るがままに映されている。

今展では「数字」という、全世界で共通の意味を持ち人間だけが認識し得るモチーフを素材に、その寓意的な意味を探求。

数字は、人類が古くから他者との関わりを築くのに用いられてきたように、現代においても言葉が通じなくとも意思を伝えられる強力な記号であり、概念と言える。

一方でそれらの記号は、時に人々を縛りつけるという逆説的な意味を持ち合わせ、資本主義社会において数字がラベルとして意味づけされることで、本来持ち合わせている価値が埋没し得る。

そうした「数字」という記号に、本質的価値や表現が希薄化した写真の存在を重ねた小見山は、街に存在する数多の記号（数字）を写真という行為で切り取り、内包する意味を昇華させて新たな生命を宿した。

写真の存在を数字になぞらえて試みる、本質的価値の再定義。
小見山が考える、現在の正統な写真表現を目撃して。



SOM GALLERY
www.somgallery.com



【Shun Komiyama “9876543210（Nine to Zero）”】
DATE：5月14日（日）まで開催中
※月曜、火曜休廊
TIME：12:00pm～7:00pm
PLACE：SOM GALLERY
ADDRESS：東京都中央区日本橋横山町4-9 birth5階
ADMISSION FREE
WEBSITE：www.somgallery.com/9876543210