Sanya Kantarovsky

Top Photo:Sanya Kantarovsky “Ubume (Yoshitoshi)”, 2023 Oil on linen 139.7 x 100.3 cm
© Sanya Kantarovsky Photo: Jeffrey Sturges

Sanya Kantarovsky

幽霊の描写が響き合う町屋の陰翳

ニューヨークを拠点に活動する作家 Sanya Kantarovskyによる個展「After birth」が、タカ・イシイギャラリー 京都にて5月27日(土)まで開催中。

Sanya Kantarovsky “Dacha”, 2023 Oil on canvas 80 x 59.7 cm © Sanya Kantarovsky Photo: Jeffrey Sturges

1982年、モスクワに生まれたSanya Kantarovskyは、アメリカのロードアイランド・スクール・オブ・デザインでペインティングを学び、カリフォルニア大学ロサンゼルス校でMFAを取得。

ペインティングをはじめ、アニメーション、彫刻、デザイン、展覧会企画など多岐にわたる作家活動を行い、その作品の多くには欲望や苦悩を抱えた想像上の人物たちが登場する。

Sanya Kantarovsky “Badgirl”, 2023 Oil on canvas 139.7 x 100.3 cm © Sanya Kantarovsky Photo: Jeffrey Sturges

タカ・イシイギャラリー 京都で初となる本展は、京都市下京区に立つ築150年の町屋を舞台に構想されたもの。
Kantarovskyがこの土地の持つ豊かな歴史と情景を軸としながら、幽霊と子育てという題材に取り組んで制作した作品の数々が展示される。

かつては民家として、その後はカフェとして利用されてきたこの町屋が、今回新たにペインティング、水彩画、そして伝統的な西陣織を用いたタペストリー作品を収容する器の役割を果たすこととなった。

Sanya Kantarovsky “Ubume (Yoshitoshi)”, 2023 Oil on linen 139.7 x 100.3 cm © Sanya Kantarovsky Photo: Jeffrey Sturges

1つのアイデアを別のアイデアで更新し、足し算と引き算を繰り返しながら作り上げられた展示では、出産で命を落とした母親の妖怪である「産女(うぶめ)」、腐った肉の塊の「ぬっぺっぽう」、蛇のような長い首で頭部を彷徨わせる妖怪「ろくろ首」など、妖怪の描写が町屋内部を仕切る壁や襖に並ぶ。

昔からこの国の人々が、生活の不安や来るべき死と折り合うための一手段として登場させてきた妖怪。
その特異な存在と、西洋の神話や美術史、作家自らの体験などから引用された題材が、町屋の陰翳の中に同居している。


長い歴史を持つ町屋に漂う、不穏な作品世界。
作家が幻妖の人物に巡らせた、さまざまな想いや畏怖を感じ取って。



TAKA ISHII GALLERY KYOTO
075-366-5101



【Sanya Kantarovsky “After birth”】
DATE:5月27日(土)まで開催中
※日曜、月曜、火曜、水曜、祝日定休
TIME:10:00am~5:30pm
PLACE:タカ・イシイギャラリー 京都
ADDRESS:京都府京都市下京区矢田町123
ADMISSION FREE
WEBSITE:www.takaishiigallery.com/jp/archives/28996/

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