Top Photo:写真: 今村裕司, 画像提供: 艸居
イギリスの陶芸家 Sam Chattoの個展「中と外」が、京都 艸居にて4月19日(土)まで開催中。
1996年にロンドンで生まれ、現在ウェスト・サセックスのスタジオで制作を行うSam Chatto。 スコットランド・ラセロンにあるノースショア・ポタリーで学んだ彼は、2023年には京都で磁器の巨匠 八木明のもとで修業。 日本の伝統的な厳しいろくろ技術や、西洋と日本のアプローチの違いに魅了された。 磁器は無垢な記憶の宿る素材であり、ろくろの工程を通じてその生命を保ち続けると考える彼が修業当時日本で制作した作品には、この動きや流動性、生命感を捉えようとしたものが多く存在する。
2024年、Chattoは艸居でのアーティスト・イン・レジデンス・プログラムで磁器への好奇心をさらに深め、抽象彫刻と茶碗の両方を制作した。 一連の彫刻作品は磁器の特性やその限界に着想を得ており、素材が素材でありながら、自然のパターンが変化していく様相や、それによって喚起される風景への関心を反映している。 また、日本の茶道に見られる芸術、詩、哲学、宗教、自然が融合する特性への興味から、茶碗のフォルム制作も行った。 さらに同年、陶芸家 道川省三の招きで静岡県笹間に滞在し、日本の田舎のドラマティックな風景に触発されたChattoは、実験的な新作となる彫刻を道川の穴窯で焼成した。 薪釜での焼成過程では、彫刻の形状が火と煙の流れに影響を受け、その結果として生じた痕跡は、作家と自然との対話を示すものであり、自然との遭遇に応じて反応した結果であるという。
本展では、艸居での滞在制作中に京都で制作した作品の他、笹間滞在中に制作した作品、そしてイギリスで制作した新作を展示。 造形的な彫刻と用途性の食器という、通常異なる空間に展示されることが多い作品が同じ空間に並ぶ。 同一作家によって生み出されたそれらは、それぞれが異なる性質を持つことにより、作品間に生じる序列について疑問を投げかける。 展覧会名「中と外」は、Chattoが作品において非常に重要であると考える器の内側と外側のバランスを象徴したもの。 西洋の伝統ではほとんど外側だけを重視しろくろを回すことが一般的である一方で、日本では内側の形状に焦点を当てる。 この「中と外」という考えが、本展のベースとなっている。
日本での生活や田園風景が与えた、深いインスピレーション。 性質の異なる作品に宿る、自然の圧倒的な力や多様な要素を感じて。 SOKYO 075-746-4456 【Sam Chatto “Interior & Exterior”】 DATE:4月19日(土)まで開催中 TIME:11:00am~6:00pm PLACE:艸居 ADDRESS:京都府京都市東山区古門前通大和大路東入ル本町381-2 ADMISSION FREE WEBSITE:sokyogallery.com/exhibitions/149/overview/
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