Naoya Hatakeyama

Top Photo:畠山直哉, 連作「津波の木」より、2018 年, ラムダプリント, 108 x 126.6 cm © Naoya Hatakeyama

Naoya Hatakeyama

震災の痕跡をとどめる津波の木

東京を拠点に活動する写真家 畠山直哉の個展「津波の木」が、タカ・イシイギャラリーにて9月28日(土)まで開催中。


1958年生まれの畠山直哉は、自然、都市、写真の関わり合いに主眼を置き、緻密に作り上げた詩情豊かな作品で世界的に高い評価を確立する。
2011年の東日本大震災における津波で実家と母親を亡くしてからは、故郷である岩手県陸前高田の変わりゆくさまを写真に収めてきた。

畠山直哉, 連作「津波の木」より、2018 年, ラムダプリント, 108 x 126.6 cm © Naoya Hatakeyama

本展では、「津波の木」シリーズから10点、新作の「Kochi」シリーズから30点を展示。

2018年から撮り続け、今年写真集となった「津波の木」は、東日本大震災の津波の痕跡をとどめる太平洋沿岸部の樹木や風景を記録した作品群。

畠山は2017年、陸前高田を流れる気仙川上流の河原で、津波が押し寄せた物体によって幹が傷つき、右半分が枯れた1本のオニグルミの木に出合う。
以降、同様にさまざまな形で震災の影響を受けた樹木の姿を大判カメラで記録していき、そこに写し出された「津波の木」たちは、時に不動の存在として崇められ、時に無分別に伐採される木々との関係性に人々の意識を立ち返らせる。

畠山直哉, 連作「Kochi」より、2022 年, C プリント, 21.2 x 24.8 cm © Naoya Hatakeyama

2021年から2022年にかけて高知県で撮影された「Kochi」は、津波避難タワーを被写体としたシリーズ。

同県の黒潮町では、南海トラフ地震による津波の高さが30mに及ぶと予想され、県内の各地には津波避難タワーと呼ばれる一時的な避難施設が建設されている。
畠山の写真は、それらが犠牲者を減らすための救済の場として屹立しながら、その周囲の風景が圧倒的な作用によって失われてしまう時を静かに予告する姿を映し出す。


震災を起点とした時の経過、個々に存在する記憶。
写真を介した風景の連なりが、過去の喪失、そして自然現象との向き合い方を問う。



TAKA ISHII GALLERY
03-6434-7010



【Naoya Hatakeyama “Tsunami Trees”】
DATE:9月28日(土)まで開催中
※日曜、月曜、祝日定休
TIME:12:00pm~7:00pm
PLACE:タカ・イシイギャラリー
ADDRESS:東京都港区六本木6-5-24 complex665 3階
ADMISSION FREE
WEBSITE:www.takaishiigallery.com/jp/archives/32732/

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