2026SS Collection Report|CHIKA KISADA

2026SS Collection Report|CHIKA KISADA

揺るぎない姿勢で描く、身体と衣服の関係性

2026年春夏、東京を舞台に描かれるモードの物語。
Lula Japan Webが、気鋭ブランドの美学をまとった最新ルックをレポート。

今回は、2014年以来「強いエレガンス」をコンセプトに掲げてきた「CHIKA KISADA」のコレクションをピックアップ。

クラシックバレエの経験を持つデザイナー 幾左田千佳により、仕草や動きに伴う人間の美しさを表現してきた「CHIKA KISADA」。
今コレクションでは「Trace」をテーマに、「理想の身体の形」を追い求めた。

各ルックを通し、スキントーンに近いベージュカラー、インナーやストッキングが裂けたようなディテール、レースから透ける肌などが繰り返し登場。

身体の構造、呼吸や姿勢がボディファンデーションとして可視化され、骨組みや肌の質感などもデザインに落とし込まれた。

Look 1
Look 5

中でも幾左田が強い思い入れを持つのは、ファーストルックと5番目のルック。
ストッキング用いたボディースーツ、Tシャツを溶かしたようなデザインは、「皮膚の延長」を起点に作品制作するアーティスト HAYASHIHIKARIと協働して作られたものだという。

「肌の痕跡や存在感を映す彼女のアプローチが加わることで身体と衣服の境界がより曖昧になり、新しい表情を映し出しています」と幾左田は語る。

また今回のショーでは、小さな会場中央にセッティングされた舞台に1人ずつモデルが現れ、観客の視線を翻弄するように不規則な動きを見せた。

そうしたプレゼンテーション形式には、次のような想いが込められている。

「『Trace』というテーマのもと、服にとどまらず、モデルの身体が生み出す動きや余韻を感じてもらいたいと思いました。
直線的なウォーキングにするのではなく、動きの強弱や静止を取り入れ、一瞬ごとに残る痕跡を追体験できるようにしています。
ひとつひとつのルックが呼吸するように、時間をかけて身体と服の関係を際立たせたいと考えました」

前回のコレクションで「自由でありたい」とブランドの在り方を見つめていた幾左田。

今回のコレクションでは、
「その自由を服としてのリアリティや日常性に落とし込み、挑戦と継続の両方を見据えた」という。

そして「これまで以上に『揺るがない姿勢』を大切にしながら、外に広がる表現だけでなく、内側に潜むものをどう響かせるかを意識しました」と話してくれた。


人間の内在的な美しさに着目した、新たなアプローチ。
身体に呼応する「CHIKA KISADA」の衣服が、静かに熱を残す。



CHIKA KISADA
www.chikakisada.com

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