2025AW Collection Report|CHIKA KISADA

2025AW Collection Report|CHIKA KISADA

90sのムードが生んだ「何者にでもなれる服」

東京の地を舞台に繰り広げられた、2025年秋冬コレクションのランウェイ。
Lula Japan Webでは、気鋭のブランドが紡ぐめくるめくショーの模様をレポート。

今回は、ヴァイオリンとチェロの生演奏と共に披露された「CHIKA KISADA」の最新コレクション。

幼少期よりクラシックバレエを学んできたデザイナー 幾左田千佳が、2014年に設立した「CHIKA KISADA」。

都市を生き抜く女性たちに向けて、「バレエのエレガンス、パンクの生命力」という相反するイメージを融合させた衣服を生み出してきた。

2025年秋冬コレクションで発表されたのは、90sのエネルギッシュなムードをベースにした「何者でもなく、何者にでもなれる服」。
ブランドの大きな進化を感じさせた今シーズンのテーマは、天文現象の日食や月食、または「凌駕する」や「覆い隠す」などの意味を持つ「Eclipse」という言葉で表現された。


暗闇を切り裂くような音と光によって幕を開けたショーでは、強い眼差しのモデルたちが、不穏かつ激しい演奏の中を闊歩した。
チュールに包まれたナイロンジャケットのルックに始まり、オレンジやパープルなどのネオンカラー、対照的なブラックやネイビー、さまざまな表情のピンクなど、コントラストの効いた色使いがインパクトを残す。

また、ファーやパファーといった新鮮なマテリアルが目を惹き、パニエやコルセット、チュールやレース、ビーズなどのブランドらしい要素と巧みに紡ぎ合わされていた。

幾左田は、
「ファッションは理想の自分を体現できるツールだと考えています。
『CHIKA KISADA』を着てなりたい自分に変わっていく、ファッションの根本的な楽しみ方を味わってほしい」と本コレクションに込めた想いを話す。

全体には90sの抑制のない自由な空気感があふれ、幾左田は自らがユースカルチャーとして親しんでいた思い出を振り返りながら、今の時代に合わせて解釈を加えていったという。

当時の街に広がっていたモードやスポーツウェアからインスパイアされたアイテムの数々は、多様な要素を勢いよくつけ足すように製作され、カラーパレットも従来に比べて拡張した。

また、複数のルックで登場したファッションドール Barbieには、ファッションを楽しんで時代ごとに変化し続けている人物像が投影されている。

幾左田は「ブランドが10年目を過ぎて、ベテランの立場になりつつある。
流れを変えたいのもあったし、もっともっと自由でありたい。
そんなところが演出にも生きたかなと」とショーを振り返った。


激しいビートが導く、「CHIKA KISADA」の新境地。
パワーに満ちたガーメントが、自己表現の可能性を解き放つ。




CHIKA KISADA
www.chikakisada.com

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