Ikuo

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旅先で出合った童話のままの風景

東京都と京都府を拠点に活動する写真家 育緒による個展「Träumerei トロイメライ」が、gallery solarisにて12月11日(日)まで開催中。

京都府に生まれ、東京都やメキシコシティ、ハリウッド、サンフランシスコなどさまざまな場所に暮らしてきた育緒。

2003年から2年間滞在したハリウッドで自由や快楽に溺れる人々や街を捉えた「甘い地獄」は第13回土門拳文化賞を受賞し、「文明や物質社会への鋭い批評精神を持った作品で、表現者としての鋭い視点や思想性が光る秀作」と評された。

今展では、ドイツ語で「夢見ること」を意味する「Träumerei トロイメライ」と題した作品を披露。

育緒は長いコロナ渦の生活や悲観的なニュースにあふれる閉塞的な空気から離れるように、出入国管理が緩和されたばかりのベルギーの小さな村へ旅に出て撮影を行った。

穏やかに過ごす中で世界を信じる気持ちを取り戻し、伸び伸びと光とたわむれながら生み出したという今作は、生きることへの願いをかたどったようにも見える。

また今展にあわせ、「Träumerei トロイメライ」と共に過去2作「プラトンの洞窟」と「瞬きもせず」を収録した写真集「3 straight stories」も刊行。

カメラのデジタル化と日本社会のデジタル化を重ね、実体の喪失に目を向けた「プラトンの洞窟」と、自身が20代の頃に中米のグアテマラ共和国で撮影したポートレートを再構成した「瞬きもせず」を加えて構成された今作は、彼女が「甘い地獄」で評された時と変わらぬ「文明や物質社会への鋭い批評精神」を持った作家であることを感じさせる。


旅先で出合った、古い童話のままの風景。
現代社会でふるい落とされた、緩く曖昧な人間味を拾い上げて。



GALLERY SOLARIS
06-6251-8108




【Ikuo “Träumerei トロイメライ”】
DATE:12月11日(日)まで開催中
※月曜定休
TIME:11:00am~7:00pm
PLACE:gallery solaris
ADDRESS:大阪府大阪市中央区南船場3-2-6 大阪農林会館 地下1階
ADMISSION FREE
WEBSITE:solaris-g.com/portfolio_page/221129/
※12月9日(金)、10日(土)2:00pm〜7:00pm作家在廊予定

【Ikuo “3 straight stories”】
PRICE:¥5,500
AVAILABLE TO BUY FROM:gallerysolaris.stores.jp/items/63837510bd5e4d2be69d670a

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