JENNYFAX 2023SS
コレクションに散りばめられた幼少期の記憶
「JENNYFAX」が2023年春夏コレクションをお披露目。
台湾出身のデザイナー Shueh Jen-Fangが、これまで一貫して祖国に住んでいた幼少期の記憶や感覚を元にコレクションを発表してきた「JENNYFAX」。
「かわいいのにかわいそう」をテーマに掲げた今回のコレクションは、4人姉妹の次女として生まれたJen-Fangが家庭で感じていた「幸せ」 を思い出して制作を行った。
彼女の幼少期は、姉妹たちと同じクローゼットから早いもの勝ちで制服や学生靴を取り合ったり、共同で着用し首回りがヨレヨレになったトップスをそのまま着続けたりする毎日。
そうした中で、幼心にどこか華やかで可愛らしいドレスへの憧れを抱いていた一方、それが社会的に「貧しい」とされる環境だったとしても「不幸だと思ったことはない、むしろ限りがあるからこそ幸せだった」と振り返る。
そして、そんな自身の体験から生まれたコレクションを通し、情報やモノにあふれた現代社会において一体「幸せ」とは何なのかを問いかけた。
今回のショーでは、会場の装飾をシンプルにすることで、1着ずつのテクスチャーやシェイプにストーリーを凝縮。
まるで誰かが使った後のアルミホイルのようにシワのついた形状のドレスやタオルを巻いたようなスカートなど、過去の記憶の痕跡が感じられるアイテムがランウェイを彩った。
初めて3Dプリンターを用いたアクセサリーでは、3Dアーティスト KADDETとの協業によって、使い古したヘアゴムのようなリングとブレスレットを形に。
さらに、個々人にとっての「幸せ」、「自由」とは反対の画一的な「幸せ」を定義する服として、ユニフォームをリファレンスとしたスーツスタイルやシャツ、パンツスタイルも試みている。
誕生から11年目を迎えた「JENNYFAX」の新たな挑戦。
幼い頃の体験を辿りながら作られた、ノスタルジックなコレクションに魅せられて。
MATT.
the-matt.com