【Runway Report 04】NADYA DZYAK 2024SS
最新コレクションのランウェイをお届け
2024年春夏ロンドンファッションウィークより、注目の最新コレクションをピックアップ。
ヴィジュアルアーティスト Olesya Parfenyukによるスペシャルな撮り下ろしフォトグラフィーと共に、その魅力を届けていく連載企画。
全4回にわたってお届け。
2023年春夏ロンドンファッションウィークの最終日には、3人のウクライナーデザイナーが一堂に会し、合同ファッションショーが行われた。
ロシアによる軍事侵攻を受け未だに厳しい状況下に置かれる中で制作されたコレクションには、デザイナーたちの「戦争に対する抵抗」の想いが込められている。
その中でも「NADYA DZYAK」が今回発表したのは、幾何学的なフォルムデザインをあしらった、まるでアートピースのようなワードローブ。
随所には透明のフリルが配されており、歩くたびに揺れ、光を透かすことで幻想的なムードを放っていた。
コレクションのインスピレーション源となったのは、オレシキーにある芸術家 Polina Raikoの美術館。
その壁と天井はPolinaが純粋な気持ちで描いた絵画に覆われていたが、カホフカ水力発電所の事故後浸水を受け、痛ましい姿に変貌してしまった。
デザイナーのNadya Dzyakはその出来事を受けて「例え水に流されたとしても、私たちは芸術的遺産を愛情を込めて大切にしていかなくてはならない」と感じ、当初のペイントを蘇らせるようにその彩りをカラーパレットへと落とし込んだ。
またコレクションをさらに色付けた鮮やかなデニムは、今は戦争のせいでめったに行けなくなってしまったNadyaの実家の生産工場で染められたもの。
そこには受け継がれてきた伝統や親の愛情が確かに宿っており、彼女はそれらをどのようにして未来に繋げていくのか、コレクションを通じて改めて考えさせられたと語った。
NADYA DZYAK :
2008年ウクライナで設立されたブランド。
比類なきクラフツマンシップによって生み出された大胆なシルエットやユニークなプリントが、
国内外で多くのファンを獲得している。
nadyadzyak.com
Olesya Parfenyuk:
ウクライナ・キエフ生まれ。オーストリア・ウィーンを拠点に活動するヴィジュアルアーティスト。
人間の行動や感情、文化的現象、過ぎ去った時代への考察をコンセプトに、日常を超えた幻想的な世界を描く。
olesyaparfenyuk.com