Wendelien van Oldenborgh

Top Photo:ウェンデリン・ファン・オルデンボルフ《obsada/オブサダ》2021 年 、撮影風景
Photo by Jakub Danilewicz

Wendelien van Oldenborgh

映像作品に交差する多様な人々の声

オランダの現代美術を代表するアーティスト Wendelien van Oldenborghの展覧会「ウェンデリン・ファン・オルデンボルフ 柔らかな舞台」が、東京都現代美術館にて2月19日(日)まで開催中。

ウェンデリン・ファン・オルデンボルフ《ふたつの石》2019 年、映像スチル
ウェンデリン・ファン・オルデンボルフ《ふたつの石》2019 年、映像スチル

1962年にオランダ・ロッテルダムで生まれ、現在ベルリンを拠点に活動するWendelien van Oldenborghは、20年以上にわたり映像作品や映像インスタレーションを発表してきたアーティスト。

シナリオを設定しない彼女の作品は、他者との共同作業を通じて人々の関係を構築しながら、試行を重ねる中で形作られていく。

それらは撮影の場という設えられた状況において、キャストやクルーとして参加する人々があるテーマについて対話する過程で発露する主観性や視座、関係性を捉え、鑑賞者の思考との交差を指向している。

ウェンデリン・ファン・オルデンボルフ《マウリッツ・スクリプト》2006 年、映像スチル
ウェンデリン・ファン・オルデンボルフ《偽りなき響き》2008 年、映像スチル

日本で初めての個展となる今展では、彼女の代表的な映像作品から新作まで6点を展示。

初期作品からは、17世紀のオランダ領ブラジルで総督を務めたJohan Maurits van Nassauの知られざる統治を巡って彼の手紙などを読み上げながら議論する「Maurits Script(マウリッツ・スクリプト)」、そしてオランダによる植民地政策にラジオがもたらした影響についての対話と、インドネシア独立運動家 Soewardi Soerjaningratが書いた手記「If I Were a Dutchman(私がオランダ人であったなら)」を読み上げる声とが交わる「No False Echoes(偽りなき響き)」の2作品が紹介される。

ウェンデリン・ファン・オルデンボルフ《obsada/オブサダ》2021 年 、撮影風景 Photo by Jakub Danilewicz

また、ポーランドの映画産業に関わる女性たちと制作した作品「obsada(オブサダ)」では、今日の芸術生産の場でも解消されないジェンダーギャップについて、撮影を進めながら率直な言葉が交わされている。

さらに今展を機に日本国内で制作した新作は、主に20〜40sにかけて活躍した女性文筆家たちが女性の社会的地位や性愛、戦争といった問題に切り込んだテキストから、それらが今日の社会のどのような側面を映し出すかを探る。

これらの展示空間は、支配的な言説やイメージからいかに逸脱しうるのかという問いを重ねてきたVan Oldenborghにより、フレームを定めることのない舞台セットのようなインスタレーションとして構成された。

ウェンデリン・ファン・オルデンボルフ《Hier./ヒア》2021 年、映像スチル

ある場所が宿す歴史的文脈、さまざまなバックグラウンドを持つ人々。
エレメントを緻密に織り合わせた舞台で、豊かな多声性が鳴り響く。



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050-5541-8600




【wendelien van oldenborgh, unset on-set】
DATE:2月19日(日)まで開催中
※月曜、1月10日(火)休館
※ただし1月9日(月・祝)は開館
TIME:10:00am~6:00pm
※入場は閉館の30分前まで
PLACE:東京都現代美術館 企画展示室 3階
ADDRESS:東京都江東区三好4-1-1
ADMISSION:一般 ¥1,300、大学生・専門学校生・65 歳以上 ¥900、中高生 ¥500
※小学生以下無料
WEBSITE:www.mot-art-museum.jp/exhibitions/Wendelien_van_Oldenborgh/

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