Louise Bourgeois

Top Photo:ルイーズ・ブルジョワ 《無題(地獄から帰ってきたところ)》 1996年, 刺繍, ハンカチ, 49.5×45.7 cm 撮影:Christopher Burke
© The Easton Foundation/Licensed by JASPAR, Tokyo, and VAGA at Artists Rights Society (ARS), New York

Louise Bourgeois

逆境を生き抜いた彫刻家の大規模個展

20世紀を代表する彫刻家の1人 Louise Bourgeoisの展覧会「ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ」が、森美術館にて9月25日(水)から2025年1月19日(日)まで開催される。

ルイーズ・ブルジョワ 《かまえる蜘蛛》 2003年, ブロンズ, 茶色く磨かれたパティナ, ステンレス鋼, 270.5×835.7×627.4 cm 撮影:Ron Amstutz
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ルイーズ・ブルジョワ 《ヒステリーのアーチ》 1993年, ブロンズ, 磨かれたパティナ, 83.8×101.6×58.4 cm 撮影:Christopher Burke
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ルイーズ・ブルジョワ 《自然研究》 1984年, ゴム, ステンレス鋼, 彫刻:76.2×48.3×38.1 cm 台座:104.1×55.2×55.2 cm 撮影:Christopher Burke
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ルイーズ・ブルジョワ 《父の破壊》 1974年, アーカイバル・ポリウレタン樹脂, 木, 布, 照明, 237.8×362.3×248.6 cm 所蔵:グレンストーン美術館(米国メリーランド州ポトマック) 撮影:Ron Amstutz
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ルイーズ・ブルジョワ 《拒絶》 2001年, 布, 鋼, 木, 鉛, アルミニウム, ガラス, 彫刻:63.5×33×30.5 cm 展示ケース:185.4×68.5×68.5 cm 撮影:Christopher Burke
© The Easton Foundation/Licensed by JASPAR, Tokyo, and VAGA at Artists Rights Society (ARS), New York

1911年、パリでタペストリー専門の商業画廊と修復アトリエを経営する両親の次女として生まれたLouise Bourgeois。
幼い頃に直面した父親の支配的な態度、病気に苦しむ母親の長年にわたる介護は、彼女に罪悪感や裏切りの感情、見捨てられることへの恐怖心を植えつけた。

そして母を亡くした1932年、ソルボンヌ大学数学科に入学するも、その悲しみからアーティストを志すように。ソルボンヌ大学、パリ国立高等美術学校、エコール・デュ・ルーブル、アカデミー・ドゥ・ラ・グランド・ショミエールでアートを学ぶ傍ら、Fernand Légerをはじめとするアーティストのスタジオに通った。

ルイーズ・ブルジョワ 《家出娘》 1938年頃, 油彩, 木炭, 鉛筆, キャンバス, 61×38.1 cm 撮影:Christopher Burke
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ルイーズ・ブルジョワ 《堕ちた女[ファム・メゾン(女・家)]》 1946-1947年, 油彩, リネン, 35.6×91.4 cm 撮影:Christopher Burke
© The Easton Foundation/Licensed by JASPAR, Tokyo, and VAGA at Artists Rights Society (ARS), New York

その後、1938年にアメリカ人美術史家 Robert Goldwaterとの結婚を機にニューヨークに移住し、40s半ばから自身の作品を発表。

やがてアメリカの市民権を取得し、1982年には女性彫刻家として初となるニューヨーク近代美術館での大規模個展を開催、その後もポンピドゥー・センターや横浜美術館、テート・モダンなどで展覧会を開催し、2010年に逝去した。

自身の版画作品《聖セバスティアヌス》(1992年)の前に立つルイーズ・ブルジョワ。ブルックリンのスタジオにて。 1993年 撮影:Philipp Hugues Bonan 画像提供:イーストン財団(ニューヨーク)

70年にわたるキャリアの中で、インスタレーション、彫刻、ドローイング、絵画などさまざまなメディアを用いながら、男性と女性、受動と能動、具象と抽象、意識と無意識といった二項対立に潜む緊張関係を探求してきた彼女。
その作品の中では、対極にあるこれらの概念が比類なき造形力によって共存している。

インスピレーションの源は幼少期に経験した複雑で、時にトラウマ的な出来事。
これらの記憶や感情は普遍的なモチーフへと昇華され、希望と恐怖、不安と安らぎ、罪悪感と償い、緊張と解放といった相反する感情や心理状態が表出する。

また、セクシュアリティやジェンダー、身体をモチーフにした彼女のパフォーマンスや彫刻は、フェミニズムの文脈でも高く評価されている。

ルイーズ・ブルジョワ 《良い母》(部分), 2003年, 布, 糸, ステンレス鋼, 彫刻とスタンド:109.2×45.7×38.1 cm 撮影:Christopher Burke
© The Easton Foundation/Licensed by JASPAR, Tokyo, and VAGA at Artists Rights Society (ARS), New York
ルイーズ・ブルジョワ 《カップル》 2003年, アルミニウム, 365.1×200×109.9 cm 撮影:Christopher Burke
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ルイーズ・ブルジョワ 《カップルIV》 1997年, 布, 革, ステンレス鋼, プラスチック, 木, ガラス, 彫刻:50.8×165.1×77.5 cm 展示ケース:182.9×208.3×109.2 cm 撮影:Christopher Burke
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ルイーズ・ブルジョワ 《雲と洞窟》 1982-1989年, 金属, 木, 274.3×553.7×182.9 cm 撮影:Christopher Burke
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ルイーズ・ブルジョワ 《トピアリーIV》 1999年, 鋼, 布, ビーズ, 木, 68.6×53.3×43.2 cm 撮影:Christopher Burke
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日本では27年ぶり、また国内最大規模の個展となる本展では、およそ半数が日本初公開となる約100点の作品群を3章構成で紹介。
第1章「私を見捨てないで」では母親との関係、第2章「地獄から帰ってきたところ」では父親との確執、そして第3章「青空の修復」では家族の関係性の修復と心の解放を主なテーマに、彼女の活動の全貌に迫る。

副題の「I have been to hell and back. And let me tell you, it was wonderful.(地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ)」は、ハンカチに刺繍で言葉を綴った晩年の作品からの引用であり、Bourgeoisの感情の揺らぎや両義性を暗示しつつ、ブラックユーモアのセンスをも感じさせる。

ルイーズ・ブルジョワ 《無題(地獄から帰ってきたところ)》 1996年, 刺繍, ハンカチ, 49.5×45.7 cm 撮影:Christopher Burke
© The Easton Foundation/Licensed by JASPAR, Tokyo, and VAGA at Artists Rights Society (ARS), New York

生きることへの強い意志を表現する、Louise Bourgeoisの作品群。
逆境を生き抜いた彼女の足跡から、苦しみを克服する術を見出して。



HELLO DIAL
050-5541-8600



【Louise Bourgeois “I have been to hell and back. And let me tell you, it was wonderful.”】
DATE:9月25日(水)~2025年1月19日(日)
TIME:10:00am~10:00pm
※火曜は5:00pm閉館
※ただし9月27日(金)、9月28日(土)は11:00pm、10月23日(水)は5:00pm、12月24日(火)、12月31日(火)は10:00pm閉館
※入館は閉館の30分前まで
PLACE:森美術館
ADDRESS:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー 53階
ADMISSION:
平日 一般 ¥2,000、大学・高校生 ¥1,400、65歳以上 ¥1,700
土曜、日曜、祝日 一般 ¥2,200、大学・高校生 ¥1,500、65歳以上 ¥1,900
※中学生以下無料
※チケットの詳細は展覧会および美術館のウェブサイトをご確認ください。
WEBSITE:www.mori.art.museum/jp

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