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Interview|Marie Tomanova

Interview|Marie Tomanova
写真家 マリー・トマノヴァを生んだ、ニューヨークの多様性

被写体にクローズアップしたポートレートで、夢や可能性、希望、自由があふれるアメリカの姿を描き出すフォトグラファー、Marie Tomanova。
チェコ出身の彼女は、写真家を志すきっかけの1つであったRyan McGinleyからも認められ、ニューヨークで活躍の場を広げている。

今回、Lula JAPANの新たなプロジェクトやSO1 Galleryでの個展に際して来日した彼女に、自身と初の写真集「Young American」について話を聞いた。


−どのようにして写真を撮ることに興味を持ち始めたのですか。

もともと私は、チェコで画家になるための勉強をしていました。
ですが、学校での経験はあまり良いものではなく、これ以上絵を描きたいと思えなくなり、アメリカへ渡ったのです。
渡米して1年目、私はノースカロライナで手記の執筆に励みました。
何もかもが新鮮で、多くの変化に直面していたので、それらを書き記したくて。

その後、ニューヨークに移り、その2週目に、ソロモン・R・グッゲンハイム美術館で開催されていたFrancesca Woodmanの展覧会を観に行きました。
Woodmanはセルフポートレートで知られる素晴らしい写真家で、展示には多くの手記や文章も含まれていました。
この展覧会は強く印象に残り、何故私はこれまでに1度も写真に挑戦したことがなかったのだろうと思うようになりました。
そして、ニューヨークにあるビジュアルアートの学校の写真クラスに申し込んで写真を学び始めたのです。
当初はセルフポートレートを撮っていましたが、次第に他の人たちを写すようになっていきました。


−「Young American」シリーズで、被写体はカメラを真っ直ぐに見つめていますが、時折見られる、目線を外した被写体の存在には何か意図があるのでしょうか?

知り合いのいない土地に渡ってきた私にとって、被写体の目や表情と、ある種の繋がりを持った写真を選ぶのは、とても重要なことです。
「Young American」を初めてニューヨークで展示した昨年の個展では、私が写真に収めた多くの若者が、個展のオープニングに来てくれました。
そこで、写真を通して出会った人々とこんなにも美しい繋がりが生まれていたのだと気付き、感動したのです。
けれども実は、本当にわずかですが、被写体が違う方向を見ている作品もあります。
作品全体と調和しないそれらの写真は、不思議と生まれたもので、その本当の理由は私にも分からないのです。


−被写体はどのように選んでいるのですか。

被写体に関しては、うまく関係を築けると感じた人や、良い雰囲気を感じた人、興味を持った人など、直観的な方法で選んでいました。
ニューヨークでは本当にたくさんの人を毎日のように見て、いつも魅力的な人を発見します。
また、ニューヨークの人たちはフレンドリーで、写真を撮ることも気にしない人が多いのです。ただ、年配者には気難しいところがあるのですが。
写真は、私にとって人との繋がりを生み出す手段なのです。


−チェコからアメリカへの移住は、どのような変化をもたらしましたか。 また、移民として、何か苦労したことはありますか。

ニューヨークは非常に多様で、なりたい自分になれる場所です。
あまり多様性がないチェコとは全く違う環境で、大きなエネルギーを感じます。
ニューヨークに来て、人と違っていることの素晴らしさを知り、すべてが変わりました。
ですが、やはり移民にとってアメリカは素晴らしくもあると同時に、Donald Trumpが就任してからは特に、厳しくもあります。
多くの不安や恐怖が存在する今、私が自分の家だと思える場所を見つけたこの国に、とどまり続けることができるのかもわかりません。

それでも私はニューヨークが大好きです。
去年のクリスマスにチェコへ帰国した時は、とても素敵な時間を過ごしましたが、それと同時に私の居場所がそこにないということに気付きました。
私の居場所は、憧れの存在であったRyan McGinleyが私の展示を見に来てくれたり、私を写真家として認めてくれたりと、想像もできなかったことが起こってしまう、ニューヨークにあるのです。


−日本の若者について、どのように感じますか。

とても興味深いです。
写真を撮りたいと思うこともよくあるのですが、言語の壁があり、なかなか難しいのです。
日本の若者が何を好み、何をしていて、どのような夢を持っているのか、探っているところです。


−今後どのような取り組みをしていきたいですか。

はっきりとは分かりませんが、もっと写真を撮っていきたいと思っています。
そこに注力して、より多くの人に会い、さらに写真を撮る。
今はまだ、すべてが始まったばかりのような気がしています。


−Lula JAPAN次号のテーマが「紅色」なのですが、あなたが「紅色」と聞いて何を連想しますか。

愛や情熱、生命、エネルギー、夕焼け。
目を奪われるような紅色は、私も大好きです。


−今回Lula JAPANが新たにローンチしたプロジェクトを通して、日本で自身の写真集を発売することへの想いを教えてください。

Lula JAPANと代官山 蔦屋書店が「Young American」を日本で発売するための機会とサポートをくださったことを、とても嬉しく思っています。
私にとって写真を撮るということはとても大切なことです。
Lula JAPANの新たなプロジェクトに関わる1人目のアーティストとして、そのことを日本の人々と共有でき、とても幸福にそして名誉に感じています。





Marie Tomanova:
チェコスロヴァキアに生まれ、南モラヴィアで育つ。
2007年にMasaryk Universityよりアート制作における学士号(BFA)を、そして2010年にUniversity of Technology, Czech Republicより美術学部絵画科における美術学修士号(MFA)を取得した。
その後アメリカに渡り、現在もニューヨークを拠点に活動。
渡米を機にテーマやアプローチを大きく転換し、移住や包括性、アイデンティティ、ジェンダー、セクシュアリティなどの問題を、写真と映像を通して扱っている。
2018年にCzech Center New Yorkで個展として発表したプロジェクト「Young American」では、移住や所属、社会的な側面におけるアメリカへの適合といったテーマに取り組んだ。
2019年の春、初の作品集「Young American」がParadigm Publishingより出版され、4月に展覧会をAcademia Film Olomouc(チェコ)とEEP Gallery Berlin(ドイツ)にて開催、8月にはSO1 Gallery(東京)で、10月にはPragovka Gallery(チェコ)で開催される。
2020年にはMarie Dvořákováが監督したTomanovaのドキュメンタリーフィルムも公開予定。
Website:marietomanova.com
Instagram:instagram.com/marietomanova




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