DIOR Haute Couture 2020AW
創造性が散りばめられた優雅な夢
「DIOR」が、2020年秋冬オートクチュール コレクションをオンラインで発表した。
トップモデルであり、前衛写真家としてもその名を轟かせたLee Millerや、Pablo Picassoの作品「泣く女」のモデルとしても知られる写真家 Dora Maar、フランスの画家 Jacqueline Lambaなど、いずれも輝かしい美貌によって帰属されていた“ミューズ”の役割を脱却し、シュールレアリスムのアートシーンにおいて新たなフェミニティを支持していた女性たちに着目した今コレクション。
今回披露された「LE MYTHE DIOR」と題した新作フィルムは、今コレクションに宿る想像の世界を巡る旅を視覚的に具現化。
ディレクションは2019年に公開された実写版映画「Pinocchio(邦題:ピノキオ)」や、ダークファンタジー「TALE OF TALES(邦題:五日物語-3つの王国と3人の女)」など、心を揺るがす独特な映像世界で知られるイタリアの映画監督 Matteo Garroneによって手掛けられた。
物語の序盤を彩るのは、才能あふれるお針子たちが、ミニチュアマネキンに着せるための卓越したオートクチュールのクリエイションに忙しなく仕上げのタッチを施す情景。
そうして完成された衣服は、「DIOR」を象徴するパリのモンテーニュ通り30番地の姿を象った大きなトランクの中に並べられ、同じ服を来た双子によっておとぎの森へと運ばれていく。
かつて古代ローマの詩人 Ovidius Nasoが描いた「変身物語」を彷彿とさせる森の中で登場するのは、ニンフやマーメイド、ナルキッソス、銅像、サテュロスといった神話の登場人物たち。
魔法のような景色と「DIOR」の現実を超越したエスプリが融合したロマンティックなクリエイティビティが、鑑賞者を美し映像美へと導く。
麗しい創造性と調和を奏でる空想の世界。
想像と芸術が散りばめられた、泡沫の夢に足を踏み入れてみては。